(2017年10月) "Annals of Medicine" に掲載された東フィンランド大学などの研究によると、運動不足などで心肺機能が低い人はサウナに入る習慣によって心臓病などで死亡するリスクを下げられるかもしれません。
研究の方法
2千数百人の男性を対象に、サウナを利用する頻度と心肺機能(*)を調べたのち、中央値で26年間にわたりで死亡状況を追跡調査しました。
そして、サウナを利用する頻度や心肺機能の程度と死亡リスクとの関係を分析しました。 データの分析においては、死亡リスクに影響する様々な要因を考慮しました。
(*) おそらく最大酸素摂取量。 日本人を調査した研究(PDFファイル)に、運動習慣がある人のほうが最大酸素摂取量が優れていることを示すものがあります。
結果
追跡期間中に 1,124人が死亡しました。 このうち心血管疾患が原因で死亡したのは520人でした。
サウナの利用頻度
サウナの利用頻度が高い(週に3~7回)は利用頻度が低い(週に2回以下)グループグループに比べて、心血管疾患(心臓病や脳卒中)で死亡するリスクが26%および総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が16%低下していました。
心肺機能
心肺機能が高いグループは低いグループに比べて、心血管疾患で死亡するリスクが49%および総死亡リスクが35%低下していました。
サウナ&心肺機能
サウナ利用頻度と心肺機能とを併せて分析した結果は次の通りです。 表に記載されている数字は、サウナ利用頻度も心肺機能も低いグループに比べた場合のリスク低下幅です。
心血管死亡リスク | 総死亡リスク | |
サウナ低・心肺低 | - | - |
サウナ高・心肺低 | -28% | -22% |
サウナ低・心肺高 | -50% | -37% |
サウナ高・心肺高 | -48% | -40% |
心肺機能が高い場合にはサウナ利用習慣があっても死亡リスクが下がっていないことがわかります。
関連研究
東フィンランド大学がこれまでに行ってきたサウナ関連の研究では次のような結果になっています:- サウナを週に4~7回利用する男性は高血圧のリスクが46%低い。
- サウナを週に4~7回利用する男性は心臓病で死亡するリスクが約50%、総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)が40%低い。
- サウナを週に4~7回利用する男性は、認知症になるリスクが66%、アルツハイマー病になるリスクが65%低い。
- サウナを週に4回以上利用する男性は、呼吸器疾患(COPD・喘息・肺炎)になるリスクが41%低い。 サウナに入る回数が2~3回の場合には27%のリスク低下。