読書は座って行う活動だけれど高齢者の認知機能を維持するのに役立つ?

(2018年4月) "Plos One" に掲載された早稲田大学などの研究によると、座って過ごすのであっても読書をして過ごすのであれば高齢者の認知機能にとってプラスとなるかもしれません。
Yuta Nemoto, et al."The association of single and combined factors of sedentary behavior and physical activity with subjective cognitive complaints among community-dwelling older adults: Cross-sectional study"

研究の方法

5,328を対象とする横断研究(追跡調査を行わない研究)で、読書(本や新聞を読む)をして過ごす時間・テレビを観て過ごす時間・身体活動に費やす時間などに関するアンケート調査をしたほか、主観的な認知機能の衰え(SCC)に関する質問をしました。

SCCを把握するための質問

次の3つの質問のいずれか1つにでもに該当する場合にSCCが生じているとみなしました:
  1. 家族や友人に自分の物忘れを指摘されたことがありますか?
  2. 自分で電話番号を調べて電話をかけることができますか?
  3. 今日の日付がわからないことはありますか?

SCCは認知症や軽度認知障害の兆候であることがあります。

結果

テレビ

テレビを観る時間が1~2時間/日である場合には、テレビを観る時間が1時間未満である場合に比べてSCCのリスクが21%増加していました(ただし95%CIは1.00~1.47と微妙)。

ただし、テレビを観る時間が2時間以上/日である場合には、テレビを観る時間が1時間未満である場合とSCCのリスクに差がありませんでした。

読書

読書に費やす時間が10分未満/日の場合に比べて、読書に費やす時間が10~20分/日の場合には37%、20~30分/日の場合には41%、そして30分以上/日の場合には53%、それぞれSCCのリスクが低下していました。

身体活動

中程度~激しい身体活動に費やす時間が150分/週未満である場合に比べて、150分以上/週の場合にはSCCのリスクが15%低下していました。

身体活動&読書

身体活動時間が150分以上/週かつ読書時間が30分以上/日の場合には、身体活動時間が150分未満/週かつ読書時間が10分未満/日の場合に比べて、SCCのリスクが60%低下していました。

解説

読書と認知症や認知機能低下のリスクとの関係を調べた研究はあまり見かけませんが、今回の結果を見ると運動よりも認知機能との関係が深いように見受けられます。

仮に読書に認知機能の低下を予防する効果があるとして、その理由として研究グループは考えているのは次の2つの説です:
  1. 読書により脳が刺激されてBDNF(脳由来神経栄養因子)の生産量が増えるのかもしれない。 BDNFには脳の神経細胞の形成や生存を促進する作用がありますが、加齢により減少します。
  2. 読書をする人は医療機関や政府が提供する健康情報を活用しやすいので、生活が健康的となり認知症にもなりにくいのかもしれない。
ただし、読書に認知機能の低下を防ぐ効果があるのでなくて、頭がしっかりしている人が読書をすることが多いとか、認知機能が低下した人が読書をしなくなるという可能性も考えられます。