抗酸化効果のあるミネラル「セレン」で2型糖尿病のリスクが増加 (メタ分析)

(2018年7月) "European Journal of Epidemiology" に掲載されたメタ分析で、セレン(セレニウム)の摂取量が多いと2型糖尿病になるリスクが増加するという結果になりました。
Marco VincetiEmail authorTommaso FilippiniKenneth J. Rothman. "Selenium exposure and the risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis"

メタ分析の方法

セレニウムの血中濃度やサプリメント服用と2型糖尿病リスクとの関係を調べ 2018年6月11日までに発表された50の観察研究と5つのランダム化比較試験のデータを分析しました。

結果

観察研究

セレニウム血中濃度が140μg/Lの場合には45μg/L未満の場合に比べて、2型糖尿病のリスクが3.6倍でした。
中国の研究に、男女8千人を調べてセレン血中濃度の平均値が120μg/Lとなったものがあります。

セレニウム血中濃度と2型糖尿病リスクの関係は明確で、セレニウム血中濃度ほど2型糖尿病リスクが高いという関係が見られました。 両者の関係を示すグラフは、ほぼ右肩上がりのラインを描きました。

ランダム化比較試験

セレンのサプリメント(200μg/日)を飲む場合にはサプリメントを飲まない場合に比べて2型糖尿病になるリスクが11%高いという結果になりました。 セレンによる2型糖尿病リスクの増加は男性よりも女性で顕著でした。

今回の結果の意味

セレンによる2型糖尿病リスクの増加は小幅ではあるものの、2型糖尿病は患者数が多くセレンも普遍的な物質であるため、セレンと2型糖尿病の関係の社会的な影響は小さくないかもしれません。

セレンについて

セレンは原子番号34の元素で硫黄に近い性質を持っています。 セレンはグルタチオン・ペルオキシダーゼという酵素の成分であり、脂質の代謝において重要な役割を果たすと考えられています。

セレンはミネラルの一種で抗酸化作用がありますが、必要量はごくわずかで摂取量が少しでも過剰であると毒性を発揮します。 適切な摂取量の幅が狭く、適量を摂取するのが容易ではない抗酸化物質です。

これまでの研究では、セレンが欠乏(極度に不足)するとガンのリスク増加する一方でセレン摂取量が過剰であると糖尿病・前立腺ガン・早死にのリスクが増加する恐れがあることや、セレンが不足しても過剰であっても抑鬱のリスクが増加することが示されています。

セレン含有量が多い食品

セレンは穀物・卵・魚(マグロ類/カツオ/サバ/アジなど)に多く含まれています。 ナッツ類の一種であるブラジル・ナッツには、100gあたり200μg~6,800μg(産地により異なる)という極めて大量のセレンが含有されています。

セレンの推奨摂取量

日本人の食事摂取基準(2015年版)によると成人のセレン推奨摂取量は男性で30μg/日、女性で25μg/日(摂取量上限は400~460μg/日と330~350μg/日)です。

例えば鶏卵には32μg/100g、食パンには24μg/100gという具合に日常的な食品にも結構な量のセレンが含まれているので、普通の食生活を送っていればセレンが不足することはありません。 平均的な日本人のセレン摂取量は100μg/日です。