Noga Tsur et al. "One 'knows' : self-rated health and telomere length among ex-prisoners of war"
テロメアとは
テロメアとは、染色体の両端にあって染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。
テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆきます。 そして、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。
テロメアと健康
細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。
また、ガン・心臓病・脳卒中・認知症・肥満・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧・抑鬱などの病気を抱えている人はテロメアが短いというデータがあります。 テロメアが短いとこうした病気のリスクが増加するのかもしれませんし、こうした病気によってテロメアが短くなるのかもしれません。
研究の方法
戦争で捕虜となった体験を持つ88人を対象に、戦争があってから18年後、35年後、および42年後に健康状態に関するアンケートを実施しました。 テロメアの長さの検査は、戦争から42年後に実施しました。
結果
戦争から42年後の時点における(主観的な)健康状態が悪いとテロメアが短いという関係が見られました。
戦争から18年後の時点で健康状態が悪かった場合にも、戦争から35年後および42年後の健康状態が悪く、42年後にテロメアが短いという関係が見られました。