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嗅覚が衰えている高齢者は5年以内に死ぬ率が高い

(2014年10月) "PLOS ONE" に掲載されたシカゴ大学の研究で、匂いを識別できない高齢者は5年以内に死亡するリスクが高いという結果になりました。

この研究において、嗅覚が健全な人では5年以内に死ぬリスクが10%だったのに対して、嗅覚が少し衰えている人では19%、簡単な匂いのテストすらクリアできなかった人では39%だったのです。 他の要因により死亡リスクが既に高い高齢者に限ると、鼻が利かない場合には死亡リスクが2倍となっていました。

嗅覚不全は、死亡リスクを測る尺度として心不全・ガン・肺疾患などよりも信頼度が高く、重度の肝臓疾患にのみ信頼度が劣っていました。

2005~2006年にやったこと

この研究ではまず 2005~2006年にかけて、57~85才の男女 3,005人を対象に5種類の一般的な匂い(ペパーミント、魚、オレンジ、バラ、皮革)を嗅ぎ分けるというテストを行いました。

嗅覚テストの主な結果は次の通りです:
  • 被験者の78%ほどは正常な嗅覚を有していた(normosmic)。 5種類の匂いすべてを嗅ぎ分けられた人は45.5%、5種類のうちの4種類の匂いを嗅ぎ分けられた人は29%だった。
  • 嗅覚鈍麻(hyposmic)だったのは20%ほどで、これらの人は2~3種類の匂いしか嗅ぎ分けられなかった。
  • 残りの3.5%では嗅覚が消失(anosmic)しており、5種類の匂いのうち1種類しか識別できない(2.4%)か、1つも識別できなかった(1.1%)。

研究グループはさらに、被験者たちの年齢、心身の健康状態、社会的・経済的状態、教育水準、飲酒習慣、麻薬の使用習慣なども調査しました。

嗅覚テストの成績は年齢に比例して着実に下がっており、5種類の匂いすべてを識別できた率が、57才のグループでは64%だったのに対して、85才のグループでは25%に過ぎませんでした。

2010~2011年にやったこと

次に、2010~2011年にかけて、3,005人のうちどれだけの人が存命であるかを調査しました。 3,005人のうち5年間のうちに亡くなっていたのは12.5%にあたる430人で、2,565人が存命でした。(10人は生死不明)

年齢、性別、社会・経済的状態(収入や学歴など)、全体的な健康状態、人種などの要因を考慮した上で死亡率と嗅覚の衰えの関係を分析した結果、嗅覚が衰えている人ほど5年後に亡くなっている率が増加していました。 嗅覚がわずかに衰えているだけでも、死亡率は増加していました。

研究者によると、嗅覚の喪失は生活習慣や生活の満足度に影響していると考えられます。 嗅覚が衰えると、食事を楽しむこともできませんし、腐った食品を判断することも、ガス漏れなどに気付くこともできません。 参考記事: 40才からは嗅覚の衰えに要注意

研究者は「嗅覚の価値は見くびられがちで、失って初めてその有難さに気付く」と述べています。

嗅覚の衰えにより死亡率が増加するメカニズムは未だ不明ですが、嗅覚系には自己再生する幹細胞が備わっているので、加齢による体の再生能力の衰えが嗅覚の衰えとして表れている可能性も考えられます。