高齢者は塩分の摂り過ぎに注意が必要

(2016年2月) "American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology" に掲載されたジョージタウン大学などの研究(ラットの実験)により、過剰な塩分を体外に排出する能力が加齢により損なわれることが示されました。 したがって高齢者は特に、塩分の摂り過ぎに注意が必要かもしれません。出典: Aging May Worsen the Effects of a High-Salt Diet

老化と電解質バランス
塩分と水分のバランスをコントロールする能力の変化は正常な老化の一部です。 この変化によって、喉が渇きにくく(水分の不足を自覚しにくく)なったり、濃い尿を作れなくなったり、水分や電解質(*)を体外に排出する能力が衰えたりします。
(*) 血中に存在するナトリウムやカリウム、カルシウムなどのミネラル。

正常な人体では塩分摂取量が増えると尿の量が増えて過剰な塩分が排出されますが、この機能は老化により衰えます。 そのために高齢者は、体内の水分が過剰となる低ナトリウム血症や体内の塩分が過剰となる高ナトリウム血症になりやすくなります。 このように水分と電解質のバランスを調節する機能が低下すると、中央神経系に機能不全が生じたり薬の効果が損なわれたりします。

アルドステロン

この研究では、アルドステロンと呼ばれるステロイド・ホルモンの一種に注目しました。 アルドステロンは副腎で生産され、体内に存在する水分と電解質の量を決定します。 アルドステロンは、アンジオテンシンIIと呼ばれるペプチド・ホルモンが1型アンジオテンシン(AT1)受容体に結合することで作動します。

これまでの研究により、アルドステロンが加齢にともなって減少し環境の変化に反応しにくくなることが明らかになっています。

研究の方法

年齢がアルドステロンの血中濃度に及ぼす影響と食事に含まれる塩分に対するラットの反応を調べることを目的として、若いラットと高齢のラットに低塩分のエサを2週間与えたのち高塩分のエサを6日間与えるという実験を行いました。

結果

低塩分のエサを与えられた2週間において、高齢のラットは若いラットに比べて食事量も飲水量も少なく、アルドステロンの血中濃度も低い状態でした。

高塩分のエサを与えると若いマウスでも高齢マウスでもアルドステロン血中濃度が低下しましたが、低下幅は高齢マウスの方が劣っていました。 若いマウスは高塩分の食事により飲水量が尿量が増えました。

高齢マウスは飲水量が増えるまでに時間がかかっただけでなく、飲水量の増加幅も若いマウスと違ってわずかでした。 さらに、飲水量が若干増えたにも関わらず尿量は増えていませんでした。 このことから高齢マウスでは、過剰に摂取した塩分が体外にうまく排出されないのだと考えられます。
高齢ラットではエサに含まれる塩分の量に対する副腎のAT1受容体の反応が加齢のために損なわれており、高塩分のエサに切り替えても副腎のAT1受容体の数が若いマウスほど速やかに減りませんでした。