敗血症患者はいったん回復した後も2年間は死亡率が高い

(2016年5月) "*The BMJ*" に掲載されたミシガン大学の研究により、敗血症になった患者は敗血症から回復した後も少なくとも2年間は死亡率が増加することが確認されました。出典: Does Sepsis Keep Killing Months Later?

敗血症とは

敗血症は感染症の合併症です。 感染症に犯された人体は、感染に対抗するために血流中に化学物質を放出しますが、その化学物質はときとして人体にダメージを与えます。 そのようなダメージにより臓器が機能不全に陥ったり血圧が急激に低下した状態が敗血症です。 敗血症の治療は抗生物質と水分補給で行います。

研究の経緯

敗血症の患者が敗血症からいったん回復したのち数ヶ月~数年間にわたって死亡しやすいことが知られています。 しかし、その死亡率の高さが敗血症に起因するものなのか、それとも敗血症になる患者の健康状態が押しなべて悪いからなのかはわかっていませんでした。

研究の方法
米国人高齢者3万人超の記録が含まれるデータベースの中から次の4種類の患者のデータを抽出して死亡率を比較しました:
  1. 敗血症の患者(960人)。
  2. 現在入院中ではない患者(777人)。
  3. 敗血症以外の感染症で入院している患者(788人)。
  4. 病原性ではない急性炎症(外傷などによる)が生じている患者(504人)。

上記の4つのグループは、敗血症・敗血症以外の感染症・病原性ではない急性炎症の有無以外の面(年齢・性別・健康状態・持病など)については同じ条件となるように抽出されました。

3と4のグループを比較対象に加えたのは、感染症と炎症が敗血症の重要な特徴だからです。

結果

敗血症の患者(1のグループ)は、敗血症で入院した後31日目から2年目までの期間における死亡率が40%でした。

1のグループは入院後31日目から2年目までの期間における死亡の絶対リスクが、2のグループに比べて22.1%、3のグループに比べて10.4%、4のグループに比べて16.2%高くなっていました。

解説

敗血症のグループと他の3つのグループとの間に死亡リスクの差が見られたことから、敗血症で入院した後の死亡率の高さは敗血症の影響によるものだと思われます。 したがって敗血症患者がいったん回復した後の死亡率の高さを敗血症治療の改善により下げる余地が残っている可能性があります。

ただし、敗血症からいったん回復した後に死亡率が高くなる原因をまず明らかにする必要があります。