輸血用血液の使用期限は6週間ではなく3週間

(2013年3月) 血液銀行では輸血用血液の使用期限を6週間としていますが、ジョンズ・ホプキンス大学(米国)の研究によると使用期限は実は3週間でしかない可能性があります。 3週間が経つと、血液に含まれる赤血球の酸素を運ぶ能力が失われるというのです。

赤血球は、体内の隅々にまで酸素を運ぶために、細い毛細血管をくぐり抜けなくてはなりませんが、今回の研究によると、採血から3週間で、毛細血管をくぐり抜けるのに必要なだけの柔軟性が赤血球から失われています。 そして、この柔軟性は、患者に輸血された後にも回復しません。

研究の内容

今回の研究では、脊椎固定手術を受ける患者16人を被験者としました。 輸血量が5単位(「単位」は日本では130ml、米国では300ml?)以上だったのは6人、3単位以下だったのが10人でした。

53の輸血用血液パックから採取したサンプルで赤血球の柔軟性を測定したところ、採血後3週間以上が経っているものでは赤血球の細胞膜の柔軟性が減少している傾向にありました。 53の血液パックののうち、採血後2週間以下のものはわずかに3つで、全パックの平均は採血後3週間以上でした。

今回使用された血液パックが古かったのは、新鮮な血液は小児に用いることを優先するため、そして血液銀行が当然のことながら古い在庫から先に放出するためです。

脊椎固定手術の3日後に研究グループが16人の患者から採血したところ、輸血された血液が人体に戻ることで pH、電解質、および酸素の量が適切な環境にあったにも関わらず、その赤血球が(血液銀行での保存中に)被ったダメージは回復しておらず、損傷した赤血球が元に戻ることは無いように見受けられました。 損傷した赤血球は、その寿命(~120日)が尽きるまで、機能が十分でないまま体内に存在すると思われます。

輸血量が少なかった10人のほうが予後が良好でしたが、これは機能不全の赤血球の量が少ないためだと考えられます。

過去の関連研究
2008年に "New England Journal of Medicine" 誌に掲載された研究では、心臓外科手術で、採血後3週間を超えた血液を用いると、採決後10日の血液を用いた場合と比べて、死亡率が二倍近くになるという結果になっています。