(2017年3月) "Journal of the American College of Cardiology" に掲載された北京大学などの研究で、生活習慣と心血管疾患(心臓病や脳卒中)になるリスクとの関係が調査されています。
(*) 追跡開始の時点では心血管疾患・ガン・糖尿病の病歴がなかった人たち。
(†) 血管が破れるのではなく詰まるタイプの脳卒中。脳卒中全体の85%を占める。追跡期間中に、3千件超の虚血性心疾患と1万9千件超の虚血性脳卒中が発生しました。
6つの健康習慣のいずれか1つでも実践できている場合には、虚血性心疾患および虚血性脳卒中のリスクが下がっていました。
6つの健康習慣のうち4つ以上を実践できているグループは、健康習慣を1つも実践できていないグループに比べて、虚血性心疾患のリスクが58%、虚血性脳卒中のリスクが39%低くなっていました。
これまでの研究でも、今回の「6つの健康習慣」が心血管の健康に良いことが示されています。 野菜・果物の摂取量が多く赤身肉の摂取量が少ないと心血管疾患になりにくいというデータも、体脂肪(特に腹部脂肪)が多い人は心臓病になりやすいデータも豊富に存在します。
ただし飲酒については、適量の飲酒が心血管の健康に良いという研究と適量の飲酒であっても心血管に悪影響を及ぼすという研究が混在しています。 大量の飲酒は明らかに、心血管に限らず健康全般にとってマイナスです。
また運動についても、適度に体を動かすのは心血管に限らず健康全般にとって有益ですが、「激しすぎる運動は心血管の健康にとって逆効果だ」という研究があります。
その一方で複数の研究により、軽い運動でも心血管の健康に有効であることや、座って過ごす時間を減らすだけでも心臓の健康にとって有益であることが示されています。 「座って過ごす時間を減らす」といっても一ヶ所に立っているだけではダメなので、軽い作業をして動き回っている時間を増やすのが良いということになります。
運動習慣は中年以降になってからでも始めることができますし、中年以降でも運動が健康にプラスであることを示す研究もありますが、ことさらに運動に時間を割くのではなく日常生活の中で運動量を増やすだけでも心血管などの健康にとってプラスになるようです。 「エレベーターの代わりに階段を使ったり、自家用車の代わりに自転車や電車・バスを使ったりするだけでも良い」とアドバイスする専門家もいます。