(2018年6月) 九州大学の研究チームが60才以上の男女を追跡調査した研究("Journal of the American Geriatrics Society" に掲載)で、睡眠時間に過不足があったり睡眠薬を使用していたりする人は認知症になりやすいという結果になりました。(出典: Optimal Sleep Linked to Lower Risks for Dementia and Early Death)
研究の方法
日本に住む60才以上の男女 1,517人を対象に、睡眠時間に関するアンケート調査を実施したのち10年間にわたり認知症の発生状況や死亡状況を追跡調査しました。
そして睡眠時間に応じてデータを次の5つのグループに分けて、認知症になるリスクや死亡するリスクをグループ間で比較しました:- 5.0時間未満
- 5.0~6.9時間
- 7.0~7.9時間
- 8.0~9.9時間
- 10.0時間以上

結果
追跡期間中に294人が認知症になり、282人が死亡しました。
睡眠時間と認知症になるリスクや死亡するリスクとの関係を示すグラフはU字型となりました。 睡眠時間が長すぎても短すぎても、認知症や死亡のリスクが増加していたのです。
認知症リスク
睡眠時間が5.0時間未満のグループは5.0~6.9時間のグループに比べて、認知症になるリスクが164%(2.64倍に)増加していました。 睡眠時間が10.0時間以上のグループでも123%(2.23倍)の認知症リスク増加でした。
認知症をアルツハイマー病と血管性認知症に分けてデータを分析しても同じような結果でした。
死亡リスク
睡眠時間が5.0時間未満のグループは5.0~6.9時間のグループに比べて、死亡リスクが129%(2.29倍に)増加していました。 睡眠時間が10.0時間以上のグループでも67%の死亡リスク増加でした。
睡眠薬
睡眠薬を使用していた人(睡眠時間は問わない)は、睡眠薬を使用しておらず睡眠時間が5.0~6.9時間だったグループに比べて、認知症になるリスクが66%および死亡するリスクが83%増加していました。