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睡眠不足による注意力の低下には個人差がある

(2017年10月) "Behavioural Brain Research" 誌に掲載された研究によると、睡眠不足が注意力に及ぼす悪影響は遺伝子的な体質により異なります。

研究の方法

32人の成人に30時間を眠らずに過ごしてもらい、2時間おきに注意力のテストを繰り返し行ないました。

32人のうち12人はBDNF遺伝子がVal/Metタイプで、18人はVal/Valタイプでした。

BDNF遺伝子について

BDNF遺伝子はBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質を作る遺伝子です。 BDNFは脳の中でも海馬(記憶や思考に深く関与する領域)に大量に存在し、ニューロンの形成や生存を促進する作用があります。

BDNF遺伝子は、その構造の違いによりVal66Met(Val/Met)、Val66Val(Val/Val)、Met66Met(Met/Met)という3つのタイプに分類されます。 いちおうはVal/Valが基本的なタイプですが、どのタイプが一般的であるかは人種により異なります。

これまでの研究で、Val/MetタイプのBDNF遺伝子を持つ人は脳におけるBDNFの分泌・流通量が少なく、それが海馬のサイズやエピソード記憶力にマイナスの作用をもたらすことが示されています。

結果

いずれの被験者も眠らずに過ごす時間が長くなるほどに注意力テストの成績が劣化してゆきましたが、眠らずに過ごす時間が20時間を超えた辺りから、BDNF遺伝子がVal/Metタイプである人のテストにおけるミスが目立ちはじめました。

また、Val/Metタイプの人のほうがテストの解答速度が遅かったのですが、Val/Valタイプの人との解答速度の差は眠くなる時間帯に入ってから顕著になりました。