睡眠によって脳に蓄積するアミロイドβが減少する

(2014年6月) アルツハイマー病患者の脳にはアミロイドβという毒性タンパク質の蓄積が見られますが、"JAMA Neurology" に掲載されたオランダの研究によると、睡眠にアミロイドβの蓄積量を減らす効果があります。 このことから、睡眠不足がアルツハイマー病のリスク要因の1つとなる可能性が考えられます。

過去の研究ではマウス実験により、睡眠により健康なマウスの脳に蓄積しているアミロイドβの量が減ることが確認されています。

研究の方法

今回の研究ではヒトでもマウスと同じであるかどうかを調べることを目的として、睡眠障害ではない中年男性26人を普通に眠るグループと徹夜するグループに分けて、睡眠(または不眠)の前後で脳脊髄液のサンプルを採取し、そこに含まれるアミロイドβの量を測定しました。

結果

普通に眠ったグループでは起床後のアミロイドβの量が前日の夜よりも6%減少していたのに対して、徹夜したグループではアミロイドβの量に変化がありませんでした。

さらに、普通に眠ったグループにおけるアミロイドβの減少量は睡眠の質に比例していました。 眠りが深いほどアミロイドβの除去量が増えるのだと考えられます。

コメント
研究者は次のように述べています:

「睡眠中には脳からアミロイドβが除去されるか、あるいは生産量が減少するのだと思われます。 おそらく両方でしょうけれど」

「一晩を完全に徹夜するのではなくて部分的に眠れないというのであっても、その悪影響が蓄積する可能性があります。 寝不足も1週間分が積み重なれば、今回の研究のような完全な徹夜に相当するかもしれません」

「今回の研究や他の研究から、アルツハイマー病のリスクを考える際には睡眠の量と質も考慮に入れるのが良さそうですが、1晩ぐっすりと眠れなかったという程度では心配する必要はありません」
解説
今回の研究だけでは、しっかりと睡眠を取ることによってアルツハイマー病を予防できるとは断言できません。 そもそも、アミロイドβの蓄積がアルツハイマー病の原因ではない可能性すら残っています。参考記事: アミロイドβは悪者ではなかった? 肥満と高血圧に加えて、睡眠不足がアルツハイマー病のリスク要因であるかもしれないのです。
「アルツハイマー病の原因は1つではなく複数だと考えられています。 ただし、その『複数の原因』に当たるものが何であるのかすら未だ特定できていません」
睡眠不足がアルツハイマー病の原因となるのではなくて、逆にアルツハイマー病が睡眠不足の原因となる可能性もあります。 参考記事: 睡眠障害はアルツハイマー病の前駆症状? (ヒト編)