「正常」血圧でも脳卒中のリスクが増加

(2014年3月) 高血圧は脳卒中のリスク要因ですが、"Neurology" 誌オンライン版に掲載された中国のメタ分析によると、わずかな高血圧であっても脳卒中のリスクが増加すると考えられます。

このメタ分析で、高血圧前症と脳卒中との関係を調べた19の研究のデータを分析したところ、高血圧前症のグループでは至適血圧のグループに比べて脳卒中のリスクが66%増加していたのです。
高血圧前症
「高血圧前症」とは、高血圧の旧来の分類におけるカテゴリーの1つで、高血圧というほどではないけれども血圧が高い状態を指します。 高血圧前症に該当するのは、120/80mmHg(最高血圧が 120mmHg で、最低血圧が 80mmHg)~139/89mmHg である人です。

正常値≠理想値
120/80mmHg~139/89mmHg という高血圧前症の範囲は、日本の現在の血圧の分類では「正常血圧(120/80mmHg~129/84mmHg)」および「正常血圧高値(130/85mmHg~139/89mmHg)」に分類されます。 「正常血圧」とは理想的な血圧のことではありません。 理想的な血圧は「至適血圧(120/80mmHg 未満)」と呼ばれています。 (参考血圧分類表
データに含まれていた人数は76万人超で、25~54%(研究により異なる)が高血圧前症でした。 コレステロール値や、糖尿病の有無、喫煙習慣など脳卒中のリスクに影響する要因を考慮しても、結果に変わりはありませんでした。

研究グループの推算によると、今回のデータの脳卒中の20%が高血圧前症によるものだと考えられます。

この研究ではさらに、高血圧前症のあるグループ(つまり血圧が 120/80~140/90 mmHg に該当するグループ)のデータを 130/85 mmHg を境目にして2つのグループに分けて比較してみました。 その結果、血圧が適正なグループと比べた場合の脳卒中のリスクが、血圧が 130/85 mmHg より高いグループでは95%、130/85 mmHg より低いグループでは44%増加していました。

高血圧前症は現在、薬による治療は推奨されていません。 副作用のリスクと効果とを勘案した場合に薬を飲むだけの価値があるかどうか良く分かっていないためです。 研究者は、差し当たっては食事の改善と運動によって高血圧前症に対処することを勧めています。