喫煙により統合失調症のリスクが増加?

(2015年7月) "Lancet Psychiatry" 誌に掲載されたキングズカレッジ・ロンドン(英国)のメタ分析で、精神病(主に統合失調症)の患者では喫煙率が通常の3倍であるという結果になりました。 この結果から、喫煙によって精神病のリスクが増加する可能性が示唆されます。

メタ分析の方法

喫煙者と非喫煙者を比較した61の観察研究のデータを分析しました。 データに含まれていた人数は、喫煙者が1万5千人ほど、非喫煙者が27万3千人ほどでした。

結果

精神病患者のグループの喫煙率は57%で、健常者のグループの3倍でした。 さらに、喫煙習慣がある場合には精神病の発症が1年ほど早まっていました。

この結果に基づき研究者は、喫煙が精神病のリスク要因である可能性を真剣に検討することを提言しています。
考えられる理由

仮に喫煙によって精神病の発症リスクが増加しているのであれば、それは喫煙が脳のドーパミン系に影響するためかもしれません。 ニコチンによってドーパミンの放出量が増加し、そのために統合失調症が生じる可能性が考えられます。

従来の説
従来、精神病患者の喫煙率が高い理由については様々な説が考えられてきましたが、下記の説のように精神病が喫煙の原因であるとするものが主でした:
  • 退屈や苦悩をまぎらわせるため。
  • 統合失調症の症状あるいは精神病治療薬の副作用を緩和する効果が喫煙にある。
ただし、このような効果が喫煙にあるのだとすれば、喫煙率は統合失調症の発症後に増加するはずです。
留意点
今回のメタ分析だけでは、喫煙により精神病との間に因果関係が存在すると断定することはできません。 さらに、メタ分析の対象となった61の研究のうちに大麻などの薬物の使用(精神病の発症に影響する可能性がある)を考慮したものはごく僅かでした。