硫化水素は毒物であっても人体に必要

(2016年12月) 「腐った卵の臭い」で有名で毒性もある硫化水素ですが、"Embo Molecular Medicine" 誌に掲載されたグラナダ大学などの研究により、そんな硫化水素が体内のエネルギー生産にとって大切であることが明らかになりました。

今回の発見

硫化水素は体内でも生産および使用されていますが、今回の研究によると、そのように体内で細胞が作り出す硫化水素をミトコンドリア酵素の一種で細胞のエネルギー生産に関与している「硫化水素-キノン オキシドレダクターゼ」が利用します。

したがって、大量に存在すると細胞のエネルギー生産を阻害する硫化水素が、微量であるとエネルギー生産を促進するということになります。 今回の研究では、ヒトの線維芽細胞を用いた実験とマウス実験を行いました。

コエンザイムQ10との関係

「硫化水素-キノン オキシドレダクターゼ」は硫化水素だけでなくコエンザイムQ10(CoQ10)も利用します。 そのため、CoQ10が欠乏すると「硫化水素-キノン オキシドレダクターゼ」も劇的に減少します。

そうして「硫化水素-キノン オキシドレダクターゼ」が減少すると、細胞間に存在する硫化水素の量が増加して、以下に変化が生じます:
  • グルタチオン(抗酸化物質)の量
  • 一部の脳内神経伝達物質の量
  • 血圧
  • 一部のタンパク質の修飾
一般的には毒物として認識されている物質が微量ながらも人体にとって必要であるという点で、硫化水素は臭素と似ていますね。