社交不安障害ではセロトニンが不足するどころか過剰となっている

(2015年6月) "JAMA Psychiatry" に掲載されたウプサラ大学(スェーデン)の研究によると、社交不安障害(社会恐怖症)の人はセロトニンが不足しているのではなく過剰になっています。 セロトニンの生産量が多いほど社交的な場面での不安感が強かったのです。

これまで、社会不安障害の人はセロトニンという神経伝達物質が不足していると考えられており、社会不安障害の治療には一般的にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という脳内で利用可能なセロトニンの量を変化させる薬が用いられています。

研究の内容

この研究ではPET(陽電子放射形コンピューター断層撮影法)と呼ばれる技術と特殊なトレーサーを用いて、脳内でのセロトニンによる化学的な信号伝達を測定しました。

その結果、社交不安障害の患者では扁桃体と呼ばれ恐怖を司る脳の領域においてセロトニンが過剰に生産されていました。 そして、社交不安が強い患者ほどセロトニンの生産量が多くなっていました。

さらにトレーサーを用いた調査では、社交不安障害の患者は健常者に比べてセロトニンの生産量が多いだけでなく、元の細胞に戻されるセロトニン(*)の量も増えていることが明らかになりました。
(*) 神経細胞がセロトニンを用いてシグナルを送ろうとするとき、セロトニンはまず神経細胞同士の間に存在するスペースにセロトニンを放出します。 そうして放出されたセロトニンが受容体細胞にくっつくと神経シグナルが発生します。 その後セロトニンは受容体から解放されて最初にセロトニンを放出した神経細胞に再度取り込まれます。
研究者は次のように述べています:
「セロトニンは不安感を軽減するどころか増大させている可能性があります」