水溶性食物繊維が不足すると太る

(2015年10月)"Gastrointestinal and Liver Physiology" 誌に掲載されたジョージア州立大学の研究によると、腸内細菌が水溶性食物繊維をエサにして作り出す短鎖脂肪酸が腸の健康とダイエットに有益かもしれません。

研究の方法

マウス実験により、エサに含まれる水溶性食物繊維・不溶性食物繊維・タンパク質・脂質の量がさまざまに異なると腸の構造・脂肪の蓄積・体重増加にどのような違いが生じるかを調べました。

結果
体脂肪の違い; 腸の構造の変化
水溶性食物繊維(イヌリン)を摂らせなかったマウスは、イヌリンを摂ったマウスよりも体脂肪と体重が増えました。 マウスにイヌリンを摂らせないようにすると、わずか2日で腸が短くなり腸壁の厚みも薄くなりました。
不溶性食物繊維では腸は回復しない

イヌリンを摂らせなかったマウスにイヌリンを再び摂らせるようにすると、腸の構造(長さと腸壁の厚み)が回復しました。 しかし、(イヌリンを摂らせない状態で)不溶性食物繊維(セルロース)を摂らせても腸の構造は改善しませんでした。

高脂肪のエサを与えられているマウスにおいて食物繊維をセルロースからイヌリンに切り替えると、脂肪の摂取が過剰であるときに見られる腸の萎縮(intestinal wasting)と脂肪の蓄積が阻止されました。

この結果から、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とでは健康への効果が異なると考えられます。
イヌリンから短鎖脂肪酸が作られる
イヌリンにより腸構造が改善したのは、腸内細菌叢の変化と腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸(SCFA)のためでした。 イヌリンを摂らせなかったマウスではSCFAの量が少なかったのですが、イヌリンを摂らせるようにするとSCFAが増えました。
SCFAは腸の細胞の燃料として用いられる分子で、抗炎症作用を有しています。

イヌリンを摂らせていないマウスにSCFAを摂らせるとイヌリンを摂らせたときに似た効果が生じましたが、イヌリンを摂らせたときほどではありませんでした。

普通のマウスにイヌリンを摂らせると腸のサイズが増大しましたが、腸内細菌を持たないマウスにイヌリンを摂らせても腸は大きくなりませんでした。

この結果から、イヌリンにより腸内細菌のSCFA生産が促されて腸の健康が促進されるのだと考えられます。

コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の結果がヒトにも当てはまるとすれば、水溶性食物繊維を多く含む食品を食べるのが代謝病(肥満や2型糖尿病など)の予防に役立つかもしれません。 また、高カロリーの加工食品にイヌリンなどの水溶性食物繊維を添加すれば、そのような食品の悪影響を緩和できる可能性があります」