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大豆が結腸ガン予防に有効である可能性

(2013年8月) "Carcinogenesis" 誌に掲載されたイリノイ大学の研究によると、大豆食品に含まれるゲニステインというイソフラボンの一種を摂取し続けるのが結腸ガンを予防するうえで有益かもしれません。

ゲニステインによって細胞・ポリープ・悪性腫瘍の成長を加速するシグナル(Wnt シグナル)の経路を支配している3つの遺伝子の発現(*)量が変化し、Wnt シグナル経路が抑制されるというのです。
(*) 遺伝子の設計図に基づいて体内でタンパク質が作られること。
Wnt シグナル

ヒトの腸の内壁は代謝回転(新陳代謝)により1週間で細胞が入れ替わりますが、研究者によると結腸ガン患者の90%では(細胞の)成長促進に関する重要なシグナル(Wnt シグナル)が常にオンの状態になっており、そのために(細胞の)成長と悪性化が制御できなくなっています。

今回の研究によると、大豆食品を積極的に食べることで結腸ガンが発症するときに起こる異常な Wnt シグナルを抑えられると思われます。

研究の方法
今回の研究では、大豆を一生食べ続けることを想定して、妊娠中のネズミ、および生まれた子ネズミを2つのグループに分けて、大豆タンパク質の単離物を含有するエサ(*)またはゲニステイン化合物を含有するエサを与え続けました。
(*) おそらく、大豆の成分からゲニステインを取り除いたもの。

そして、子ネズミが生後7週間となった時点で、発ガン性物質に暴露させました。 両グループとも、エサは生後13週目まで同じものを与え続けました。

13週が経過した時点で、両グループの子ネズミの結腸を検査して、コントロールグループ(*)の子ネズミと、(ガン性の)病変部の数と程度を比較しました。 Wnt シグナルについては、発ガン性物質に暴露させる前後で検査し、比較しました。
(*) 比較対照用のグループ。 普通のエサを与え、発ガン性物質にも暴露させなかったのでしょう
結果

ゲニステインへの慢性的な暴露によって、発ガン性物質によって人為的に生じさせた前ガン性の病変部の数が40%も減少していました。 さらに Wnt シグナル伝達も、発ガン性物質に暴露されていないコントロール・グループと同様のレベルでした(つまり、きちんと制御されていた)。

解説

今回の研究では、結腸ガンが後成的な疾患であることが示されました。 後成的とは、食事や環境などの後天的な要因が遺伝子のスイッチのオン/オフに影響して、遺伝子の発現のパターンが変わることを言います。 遺伝子の発現パターンが変化すると、病気へのかかりやすさが変化します。

研究者は次のように述べています:
「両親から受け継いだ遺伝子ですべてが決まるわけではありません。 食事・環境汚染・ストレスなどが遺伝子の発現に影響を与えるのです」