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乳ガン患者に大豆食品は有害ではない? 一部の患者では有益である可能性も

(2017年3月) "Cancer" 誌に掲載されたタフツ大学などの研究によると、乳ガンと診断された女性にとって大豆を原料とする食品は有害であるどころか有益かもしれません。

乳ガンと大豆

エストロゲン受容体陽性の乳ガンは、エストロゲン(女性ホルモン)によりガンの成長が促進される恐れがあります。 そして、大豆の成分であるイソフラボンにはエストロゲンに似た作用があります。 そのため、大豆も乳ガンに良くないのではないかと議論されてきました。

これまでの研究では、細胞実験でイソフラボンに乳ガンの成長を鈍化させる効果が見られたり、疫学的な研究で「東アジアに住む乳ガン患者はイソフラボンの摂取量が多いと死亡リスクが低い」という関係が確認されたりする一方で、イソフラボンに備わるエストロゲン的な作用が乳ガンの治療に用いられるホルモン療法の効果を損なうことも示されています。

こうしたデータから、乳ガン患者がイソフラボンを積極的に摂取すべきなのか、それともイソフラボンを避けるべきなのか結論が出ていません。

研究の方法

北米に住む乳ガン患者 6,235人の食生活を調べたのち9.4年間(中央値)にわたり生存状況を追跡調査したデータを用いて、(サプリメントではなく)食事から摂取するイソフラボンの量と乳ガン患者の死亡リスク(死因は問わない)の関係を調べました。

結果

追跡期間中に 1,224人が死亡しました。

イソフラボン摂取量に応じてデータを4つのグループに分けたなかで、摂取量が最大のグループ(1.5mg/日以上)は最少のグループ(0.3mg/日未満)に比べて、死亡リスクが21%低くなっていました。

「イソフラボン摂取量が多いと死亡リスクが低い」という関係が見られたのは、ホルモン受容体が陰性の乳ガン(*)の患者やホルモン療法(タモキシフェンなどエストロゲンの作用を遮断する薬)を受けていない患者にほぼ限られており、前者に限ると51%のリスク低下、後者に限ると32%のリスク低下でした。
(*) ホルモン受容体が陽性の乳ガンに比べて生存率が低い。

ホルモン療法を受けている患者にしても、イソフラボンの大量摂取により死亡リスクが増加するわけではありませんでした。 これまでの研究の中には、ホルモン療法を受けている患者のイソフラボン摂取量が多いと死亡リスクが増加するという結果になったものがあります。

解説

イソフラボンが乳ガンの細胞にどう影響するのかは不明ですが、これまでの研究でイソフラボンに抗炎症作用や抗血管新生作用など腫瘍の生存と成長に影響しうる作用のあることがわかっています。

コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、ホルモン療法を受けている患者であっても大豆食品は有害ではないという結果になりました。 そして、ホルモン受容体が陰性の乳ガンの患者やホルモン療法を受けていない患者にとっては大豆食品が有益である可能性があります」