糖尿病やメタボの患者では宇宙の天気も問題となる

(2016年7月) "International Journal of Biometeorology" に掲載されたヴィータウタス・マグヌス大学(リトアニア)の研究によると、糖尿病やメタボリック・シンドロームを抱えている人は、宇宙の天気が悪いときに急性冠症候群(心臓発作や心突然死など)のリスクに注意する必要があるかもしれません。

研究の方法

リトアニア在住で急性冠症候群(ACS)で入院した糖尿病またはメタボリック・シンドロームの患者 1,500人超のデータを用いて、地磁気嵐・太陽陽子イベント・高速太陽風の発生とACSが生じるリスクとの関係を調べました。

結果
糖尿病患者
糖尿病患者におけるACSのリスクは、次のように増加していました:
  • 高速太陽風が生じている期間、およびその後2日間: 40%のリスク増加
  • 高速太陽風(とその後の2日間)と同時に地磁気嵐も1日を超えて持続する場合: 131%のリスク増加
  • 太陽陽子イベントが始まるとき: 172%のリスク増加
メタボ患者
メタボリック・シンドロームの患者では、次のようにACSのリスクが増加していました。
  • 地磁気嵐が生じている期間、およびその前後2日間: 31%のリスク増加
  • 上記の地磁気嵐(およびその前後)の期間が、高速太陽風が発生する期間またはその1~2日前と重なる場合: 116%のリスク増加
言葉の説明
地磁気嵐

地磁気嵐は、太陽風やコロナ質量放出(太陽活動に伴って太陽から惑星間空間内へ突発的にプラズマの塊が放出される現象)によって太陽から強力な磁場が放出され、地球の磁場がかき乱されるために生じます。

地磁気とは地球が持つ磁気のことで、コンパスの針が北を指すのも地磁気のお陰です。 したがって地磁気嵐が生じるというのは、コンパスが狂うような現象だということです。

地磁気嵐の継続時間は数時間~数日間で、場合によっては衛星を狂わせたり、送電網に干渉して停電の原因となるほどに強力な嵐となることがあります(ただしカナダなど高緯度の国だけ)。

太陽陽子イベント

太陽陽子イベント(SPE)は、コロナ質量放出が高速で行われるために生じます。 太陽から放出される太陽粒子(主としてプロトン)が放出後わずか30分のうちに地球に降り注ぎます。

高速太陽風
太陽風とは太陽から吹き出すプラズマ粒子のことで、この太陽風の速度が秒速600km以上となるものが高速太陽風です。