「最新健康ニュース」のコンテンツを閲覧以外で利用する方は「引用・転載・ネタ探しをするときのルール」をご覧ください。

体罰で叱ると、暴力で問題を解決しようとする子供に育つ

(2013年10月) "Pediatrics" 誌に掲載されたテキサス大学の研究によると、子供を叱るときに体罰を用いると、乱暴な子供に育ちます。 幼児のときに体罰を加えられた子供では、小学校に上がる頃に暴力的でルールを守れない子供に育っている傾向がわずかに見られたのです。

研究者によると、体罰で叱られた子供は暴力で問題を解決しようとする人間に育ちます。 子供の頃に、暴力によって他人(親)の意思を押し付けられたために、自分が他人に意思を押し付けるときにも暴力を用いようとするのです。

体罰で叱られた子供は、例えば他の子供の遊んでいる玩具を自分が使いたいときに、頼んだり交渉したりするのではなく暴力で奪い取ろうとします。

研究の方法

今回の研究では、1998~2000年の間に生まれた米国人の子供 1,900人の両親を対象に、子供が3才および5才のときに体罰を加えたかどうか、および体罰の頻度についてのアンケートを実施しました。 そして、子供たちが9才になった時点で、母親に子供の素行に関して報告してもらい、子供には語彙(ボキャブラリー)のテストを受けさせました。

結果
研究の結果は以下の通りです:
  • 子供が3才の時に体罰を行ったことがあると回答したのは、母親では57%、父親では40%だった。 子供が5才の時点でのこの数字は、母親では52%、父親では33%だった。
  • 5才のときに体罰を受けた子供は、体罰が日常的であるか否かに関わらず、攻撃的でルールを守らない9歳児に育っていた。
  • 母親による体罰を週に2回以上受けていた子供では、問題行動を取るリスクが(70点満点で)2点増加していた。
  • 3才のときに体罰を加えても、後に素行不良を起こすリスクは増えていなかった。
  • 5才のときに父親から日常的に体罰を受けていた子供は、語彙テストの成績が悪かった。 テストを受けた9才児の平均点が(100点満点で)93点であったのに対して、父親から体罰を受けていた子供では89点だった。 ただし、この4点という違いは統計的には有意ではない(このテストでたまたま低かっただけかもしれない)。
解説

研究者は体罰によって語彙テストの成績が悪くなるという点に関して「解釈が難しい」と述べています。 体罰によって語彙力が貧弱となる原因は、体罰を加える親が子供と言語によるコミュニケーションをあまり取らないから、あるいは学校で素行が悪いために授業をちゃんと受けていないからである可能性があります。

体罰の効果は短期的で副作用もある

研究者によると体罰は短期的には最も有効です。 体罰を加えられた子供は直ちに行動を改めるからです。 一方、体罰による副作用は長期的に(しかも微妙に)表れます。 つまり、体罰は、効果がわかりやすい一方で副作用はわかりにくいというわけです。 したがって、親としてはついつい体罰を用いてしまいます。 また、ストレスを抱えた親は体罰に走りやすいので注意が必要です。

理由を説明するのが良い

過去の複数の研究によると、子供をしつけるうえで体罰や怒鳴ったりするのに効果がありません。タイムアウト(罰として廊下に立たせたり、正座させたりすること)の効果は微妙です。 最も有効なのは、当該の行為をしてはいけない合理的な理由を説明することです。

「良い子に育てるには、時間と手間がかかるものなのです」と研究者は述べています。 即効性があるけれど副作用もある体罰に頼らずに、手間と時間をかけて繰り返し言葉で言って聞かせることによって社会に適合した人間に育つというわけです。