速読法に科学的な根拠はない

(2016年1月) "Psychological Science in the Public Interest" 誌に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、「速読」に大量の文書を短時間のうちに理解および記憶できるようになるという効果は無いと思われます。

この研究で数十年分に及ぶ科学的文献を調査したところ、速いペースで読みつつ内容を完全に理解するのは不可能だという結論になったのです。

研究者は次のように述べています:
「既存の科学的エビデンスを調べたところ、読む早さと理解の正確さを両立させることは出来ないことが明らかになりました。 読む速度を早くするとどうしても内容の理解がおろそかになります。 理解力はそのままに読む速度だけが2倍にも3倍にもなるなどと主張する速読法は疑ってかかりましょう」
速読法のまやかし
そもそも読書時にはあまり眼を動かさない

一部の速読法では、文字を眼で追うという動作を省くことで読む速度を上げられると主張しますが、読書時間に眼が動く時間が占める割合は10%でしかありません。 また、一度目を通した箇所に再び戻って読み直すということをしない場合には理解力が悪化する傾向があります。

読む速度を速めるうえで妨げとなるのは、眼の動きではなく言葉を認識し理解するという作業です。

自分が詳しい分野は理解が早いので読むのも速い

天才的な速読能力があると主張する人も、実際に速読能力を調べてみると速読能力が優れているのではなく、文書に書かれている内容が自分が詳しい分野であるというケースばかりです。 こういう人に自分が詳しくない分野の本を読ませると、(読む速度は速いにしても)本の内容をほとんど覚えておらず、内容に関する質問の大部分に答えることができません。

実用的な「速読」法

研究者によると、文書に素早く目を通すには拾い読みをするのが一番です。 自分が詳しい分野について書かれた書物を斜め読みするのが「速読」として最も効果的であるというデータが存在します。

読書速度を全般的に上げたい場合には、普段から(早く読もうとするのではなく)理解しようとして読むように努めるのが良いとするデータも存在します。

さらに様々な大量に文章にさらされることで、語彙が豊かになり文章構成に関する慣れが生じます。 そうすると次に来る言葉を予期したり知らない言葉や言い回しの意味を推測したりできるようになります。

熟練の読書家は速読スキルを持っていなくても読む速度が速く、1分あたり平均200~400文字に目を通します。