遺伝的体質によってはアスピリン常用による大腸ガン予防の効果が無いばかりか逆効果に

(2015年3月) 過去の複数の研究で大腸ガン(結直腸ガン)の予防にアスピリンなどのNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)の常用が有効であることが示唆されていますが、"Journal of the American Medical Association" に掲載されたハーバード大学の研究によると、このような予防効果が発揮されるかどうかは遺伝子で決まります。

研究の方法

この研究では、1万7千人超の生活習慣と遺伝子に関して行われた10の研究のデータを分析しました。 1万7千人のうち、結腸または直腸のガンを患っていたのは約半数で、アスピリンおよび/またはNSAID(以下「アスピリン」に統一)の服用習慣があったのは1/3超でした。 遺伝子のデータは血液検査により収集しました。

結果
アスピリンを頻繁に服用していたグループのうち一般的な遺伝子(90%ほどの人に見られる)を持っている人に限って、アスピリンを常用していないグループに比べて結腸または直腸のガンになるリスクが平均で30%ほど低下していました。
今回分析対象となった10の研究では「頻繁な服用」の定義が同一ではありませんでしたが、大体において、一ヶ月超にわたって週に2回以上の服用が「頻繁な服用」とみなされていました。

全データのうち rs16973225 という遺伝子に変異体が見られる9%の人たちではアスピリンを頻繁に服用していても大腸ガンのリスクが低下していませんでした。 さらに、rs2965667 という遺伝子に変異体が見られる4%ほどの人ではアスピリンの頻繁な服用によって大腸ガンのリスクが増加しているように見受けられました。

大腸ガンの患者は、アスピリンによる大腸ガン予防効果を得られない遺伝子を持つ傾向にあるだけでなく、アスピリンを頻繁に服用する率が低い傾向にありました。
注意点
自分がアスピリンで大腸ガンを予防できる遺伝子の持ち主であるかどうかを検査する道具は、現時点では一般に普及していません。 アスピリンの常用には胃腸の出血などの副作用があるので、大腸ガンの予防を目的としてアスピリンを常用することは現在の段階では推奨されません。