SSRI系抗鬱剤で心臓発作のリスクが増加する可能性

(2015年4月) "Psychosomatic Medicine" 誌オンライン版に掲載された Wake Forest Baptist Medical Center(米国)の研究によると、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という系統の抗鬱剤により冠動脈(心臓の動脈)におけるアテローム性動脈硬化のプラークの量が数倍に増加する可能性があります。 冠動脈のアテローム性動脈硬化は心臓発作の主因です。 (出典: Common Antidepressant Increased Coronary Atherosclerosis in Animal Model

研究者は次のように述べています:
「抑鬱を抱えている人に心臓病が多いことは以前から知られていましたが、(抗鬱剤による)抑鬱の治療によって心臓病のリスクが低下するかどうかは不明でした」
研究の方法
この研究ではまず準備期間として、42匹のメス猿に脂肪とコレステロールを多量に含む欧米型の食事を18ヶ月間にわたって与え、抑鬱的な振る舞いの生むをチェックしました。
オスではなくメスにしたのは、米国においては女性は男性の2倍も抑鬱障害の罹患率が高く、さらに女性の死因のトップが冠動脈疾患であるためです。

そして、メス猿たちを無作為に2つのグループに分けて18ヶ月間にわたって、一方のグループにのみSSRI(ゾロフト)を投与し、もう一方のグループにはプラシーボを与えました。 SSRIの投与量は、ヒトの鬱患者に投与されるのに相当する量としました。

結果
SSRIを投与されたグループは、冠動脈におけるアテローム性動脈硬化のプラークの量がプラシーボのグループの3倍になっていました。 抑鬱症状のある猿だけに限って見ると、この数字は6倍ほどにまで増加しました。

「猿を用いた試験において、SSRI系抗鬱剤を長期間にわたって使用するとアテローム性動脈硬化が促進される可能性が示唆されました。 今回の結果はヒトにとっても臨床的に有意であるかもしれません。 というのも、米国では中年女性の25%近くが抗鬱剤を使用しており、抗鬱剤の中で最も処方されることが多いのがSSRIだからです」

「今後の研究で今回の結果を確認する必要がありますが、医師の方々には今回の結果を心の片隅に留めておいて頂きたい」
過去の複数の研究で、多くの鬱病患者にとっては運動とカウンセリングがSSRIと同程度に効果的かもしれないという結果になっています。