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SSRIの効果は服用者を取り巻く状況に左右される?

(2016年9月) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる系統の抗鬱剤は服用者の30~50%において効果を発揮しませんが、ウィーンで開催中の "ECNP Congress" で発表された(*) Istituto Superiore di Sanità(イタリア)の研究によると、SSRIが効果を発揮するかどうかには服用者の状況が関係しているかもしれません。

SSRIを服用してセロトニンの量を増やしても脳の可塑性が向上して脳が抑鬱から抜け出せる状態になるだけで、抑鬱から抜け出すまでには至らない可能性があるというののです。
(*) "Brain, Behaviour, and Immunity" 誌にも掲載済み。
研究の方法

24匹のマウスに2週間にわたってストレスを与え(て抑鬱を生じさせ)たのちSSRIの一種であるフルオキセチンを投与し、その後マウスを2つのグループに分けました。 そして、一方のグループにはストレスを与え続け、もう一方のグループは快適な環境で飼育しました。

結果
快適な環境で暮らすグループは抑鬱的な行動を示すことが減りました。 これに対して、ストレスを受け続けたグループはSSRIの投与にも関わらず抑鬱的な行動が増加していました。 この結果は、両グループのマウスの脳に存在するストレス関連サトカインの量によって裏付けられました。
抑鬱の原因となった環境的な要因が取り除かれていない状況でSSRIを飲んでも効果が無いかもしれないというわけです。
解説
研究者は次のように解説しています:

「単にSSRIを服用するだけでは恐らく十分ではないでしょう。 SSRIが効果を発揮するには、服用者の環境が好適でなくてはならないと思われます」

「ただし今回の研究には、SSRIの作用の全ての面を説明しているわけではないとか、動物実験でしかないなど複数の弱点があります。 したがって、今後も様々な研究を行って私たちが提唱する仮説を検証してゆく必要があります」