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階段を昇る運動よりも降りる運動の方が有益。 しかし、いかにして昇らずに降り続けるのか?

(2016年6月) "Science of the Swan conference" で発表されたエディス・コーワン大学(オーストラリア)の研究によると、階段を下りるなどのエキセントリックな(縮んでいる筋肉を伸ばす)運動の方がコンセントリックな(伸びている筋肉を縮める)運動よりも、色々な面において高齢者ににとって有益だと思われます。出典: Walking down stairs could help prevent dementia

研究の概要

この結論に至るまでには複数の研究が行われました。 そのうちの2つは次のようなものでした。

その1

60~76才の男性26人にエキセントリックな運動またはコンセントリックな運動を12週間にわたり続けてもらい、エキセントリックな運動とコンセントリックな運動とで体の状態を比較したところ、エキセントリックな運動の方が心拍数・血圧・心肺能力・血糖値・血中脂質・インスリン感受性に有益な影響を強くもたらしていました。

その2

過体重(軽度の肥満)の高齢女性たちに階段を昇るまたは降りるという運動を週に2回行ってもらったところ、階段を降りたときの方が結果が良好でした。

エキセントリック運動

次のような運動がエキセントリック運動になります:

  • 階段や坂を歩いて降りる。
  • ゆっくり座る。
  • ゆっくり横たわる。
  • ダンベルをゆっくり下ろす。
解説
研究者は次のように述べています:

「(階段や坂を降りていて)前に進む体をストップするたびに、太股(*)の前面の筋肉が伸びます。 これに対して階段を昇るとき、太股(*)の筋肉は主にコンセントリックな運動をしています」

「エキセントリックな運動はコンセントリックな運動よりも行いやすく、繰り返し行った時に筋肉量や筋力が効率よく増えます」
(*) 原文では "tight" となっていますが、"thigh(太股)" の間違いだと判断しました。 2回とも "tight" となっているのが気になりますが。

「エキセントリックな運動によってインスリン感受性・血中脂質・安静時血圧・動脈スティフネスも改善されていましたから、この運動によって糖尿病・心臓病・脳卒中のリスクが下がることも期待できます」

「そして、糖尿病が認知症の原因の1つであることからエキセントリック運動が間接的に認知症の予防に役立つと言えそうですが、エキセントリック運動は直接的にも認知機能の低下を防ぐ効果があると考えられます。 エキセントリック運動ではコンセントリック運動よりも認知能力が多く要求されるためです」

「エキセントリック運動が認知機能にどのように影響するのかは不明ですが、高齢者の認知機能の維持だけでなく子供の認知機能の発達にもエキセントリック運動は有効ではないかと思います」