人体常在菌が2型糖尿病の発症に関与?

(2015年6月) "mBio" 誌に掲載されたアイオワ大学の研究によると、2型糖尿病の発症に皮膚に住む細菌も関与しているかもしれません。

この研究で、ウサギを黄色ブドウ球菌に長期間にわたって暴露させたところ、インスリン抵抗性・耐糖能障害・全身性の炎症などの2型糖尿病の特徴的な症状が現れ、糖尿病とほぼ同じ状態になったのです。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌はブドウ球菌の一種で、ヒトなどの動物の皮膚・鼻の穴・腸内などに普通に見られる常在菌です。 人体にとって有害な病原菌ではあるものの、傷口から体内に侵入するなどしない限り普通は害を引き起こしません。
肥満 ⇒ 人体常在菌 ⇒ 2型糖尿病?
肥満が2型糖尿病のリスク要因であることは知られていますが、肥満によって皮膚に黄色ブドウ球菌にコロニーを形成される(大量の黄色ブドウ球菌に定住される)リスクが高くなることが過去の複数の研究で示されています。

そして黄色ブドウ球菌にコロニーを形成されると、ブドウ球菌が作り出す毒素(スーパー抗原)に慢性的にさらされることになります。 今回の研究では、スーパー抗原が脂肪細胞および免疫系に作用して全身に慢性的な炎症を引き起こし、その炎症によってインスリン抵抗性などの2型糖尿の症状が生じることが確認されました。

さらに研究チームが4人の糖尿病患者の体に存在する黄色ブドウ球菌の量を調べたところ、黄色ブドウ球菌のコロニーが大量に形成されている人ではスーパー抗原への暴露量が、ウサギに糖尿病の症状を引き起こしたのと同程度となるようでした。

実用性

スーパー抗原に対抗するためのワクチンが開発されれば2型糖尿病の発症を予防できるようになる可能性があります。

研究チームは現在、グリセロール・モノラウレートという殺菌効果のある物質を有効成分とする塗り薬でヒトの皮膚に住み着く黄色ブドウ球菌を退治できないかと考えており、糖尿病前症の患者を被験者とする試験でグリセロール・モノラウレートで血糖値が下がるかどうかを調べる予定です。
Wikipedia によると、グリセロール・モノラウレートはココナッツ・オイルに含まれており、化粧品や食品に添加物として用いられています。 母乳に含まれているモノグリセライドにも近い物質だと考えられているそうですから、安全性はかなり高いのではないでしょうか。