(2015年5月) "Physiological Reports" に掲載されたカリフォルニア大学デイビス校の研究によると、コレステロール低下薬であるスタチンを喘息の吸入療法に用いることが出来るかもしれません。(出典: A New Use for Statins: Asthma)
スタチンの喘息への有効性を示す研究はこれまでにも複数発表されていますが、問題は投薬の方法でした。 スタチンが経口服用のみが認可されている(吸入投与は認められていない)薬であるためです。
そういうわけで過去の類似研究ではスタチンを(経口服用によって)全身に投与していたのですが、この方法ではスタチンがどのようにして肺に作用しているのか、あるいはそもそもスタチンが肺に届いているのかすら明確ではありませんでした。
実際にスタチンを喘息患者に投与する場合には、使用量と副作用のリスクという観点からも吸入投与によって患部に薬剤を直接届けるのが望ましいと考えられます。
今回の研究
そういうわけで今回の研究ではマウス実験を行って、スタチンを吸入することで喘息の症状が緩和されるかどうかを調べました。
肺に届いていた
スプレーでスタチンを投与したマウスを独自の手法を用いて調べたところ、スプレーで投与したスタチンの大部分が肺に行っていて体の他の部分にはほとんど行っておらず、毒性も無いことが明らかになりました。
効果もあった
そして、スプレーでのスタチン投与によって①アレルギー原因物質に対する気道の過敏性が低下し、②そこそこの抗炎症作用がもたらされ、③粘液の過剰生産が軽減されていました。
今後の課題
研究チームは次のように述べています:
「喘息治療に最適なスタチンの種類と用量を今後突き止める必要があるが、喘息などの気道疾患用の新種の吸入療法としてスタチンは有望である」