スタチンに「認知機能への悪影響」という副作用は無いかもしれない

(2015年1月) 2012年から米国食品医薬局(FDA)は各種の研究結果に基づいて、コレステロール低下薬のスタチンに「認知機能(*)に悪影響がある可能性がある」という表示を行うように指示していますが、"Journal of General Internal Medicine" に掲載されるブラウン大学のレビューによると、スタチンを服用していても認知機能に悪影響が生じるリスクは増加しない可能性があります。
(*) 記憶力・注意力・問題解決能力・言語能力・視空間能力など。

今回のレビューでは、スタチン療法と認知機能との関係を調べた25の臨床試験(被験者数の合計は 46,836人)のデータを分析しました。 このうち14の臨床試験(被験者数合計 27,643人)については結果を対比させたり組み合わせたりするメタ・アナリシスを行いました。

その結果、脳の働きが正常である患者についても、アルツハイマー病を抱えている患者についても、スタチンの使用による認知機能への影響は統計学的に有意と言えるほどではありませんでした。

今回の結果が 2013年に米国心臓学会などが出したスタチンの安全声明(*)とも合致することから、今回の結果から、認知機能への悪影響に関する表示をスタチンに記載するという判断の見直しを検討することが求められます。
(*) 安全声明の主旨は「スタチンの服用によって混乱状態が記憶の異常が生じたりしても、その原因はスタチンではなく他の薬や神経精神医学的な問題などが原因だろう」というもの。
FDAの 2012年の判断の根拠となった各種研究と今回のレビュー結果との間に違いが生じた理由を今後究明する必要がありますが、研究者によると、認知機能への悪影響に関する表示をスタチンに記載するという当初の判断の根拠の1つとなった事例研究(ケース・スタディ)において報告された事例のうちに、スタチンを過剰に服用した結果として認知機能が悪化したケースが含まれていた可能性があります。