スタチンで糖尿病のリスクが増加②


(2015年3月) "Diabetologia" 誌に掲載された東フィンランド大学などの研究で、コレステロール低下薬のスタチンを服用している人では2型糖尿病になるリスクが46%増加するという結果になりました。

研究の方法

この研究では、糖尿病ではないフィンランド人男性 8,749人(45~73才)を5.9年間にわたり追跡調査して、スタチンの服用が2型糖尿病のリスクや血糖値コントロールに及ぼす影響を調べました。 さらに、スタチンによるインスリン抵抗性とインスリン分泌量の変化も評価しました。

研究期間中に新規に糖尿病を発症したのは625人でした。 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)またはHbA1cで所定の条件を満たすか、糖尿病の薬を処方された人を糖尿病とみなしました。

糖尿病の発症リスク

スタチンを処方されていたグループでは2型糖尿病を発症するリスクが、スタチンを処方されていなかったグループに比べて46%増加していました。 この数字は、年齢・BMI・ウェストのサイズ・運動量・喫煙習慣・飲酒習慣・糖尿病の家族歴β遮断薬や利尿剤使用などの交絡要因を考慮したうえでのものです。

シンバスタチンとアトルバスタチンについては、糖尿病発症リスクの増加において用量反応が見られました。 上述の交絡要因を考慮した後の数字で、シンバスタチンを高用量で服用していたグループでは糖尿病発症リスクが44%増加していたのに対して、低用量で服用していたグループでは28%の増加でした。 アトルバスタチンを高用量で服用していたグループでは糖尿病発症リスクが37%増加していました(低用量のグループについては記載なし)。

(おそらくスタチンを服用していたグループにおいて)シンバスタチンを服用していたのは29%、アトルバスタチンを服用していたのは53%でした。

インスリン感受性とインスリン分泌量の低下
追跡期間中に行われた検査において、スタチンを処方されていたグループでは糖負荷後2時間血糖値(2hPG)が有意に、そして空腹時血糖値は名目的に有意に(*)増加していました。
(*) 名目的に有意に - nominally significant。 P値が0.5を超えているということだと思います。

スタチンを処方されていたグループはさらに、インスリン感受性が24%低下し、インスリン分泌量が12%減少していました。 インスリン感受性とインスリン分泌量の低下についても、シンバスタチンとアトルバスタチンで用量反応が見られました。

研究チームのコメント
研究チームは次のように述べています:

「スタチンの使用により糖尿病発症リスクが増加するのは、スタチンによってインスリン感受性とインスリン分泌量の両方が低下するためである可能性が高い」

「今回の研究は大規模であるために信頼性が高いが、白人男性を対象に行われたため今回の結果を女性や他の人種にも適用できるか否かについては今後の研究で確認する必要がある」