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スタチンで糖尿病のリスクが増加③


(2015年5月) "Journal of General Internal Medicine" に掲載された VA North Texas Health System(米国)の研究で、コレステロール低下薬のスタチンの使用量に応じて糖尿病のリスクが増加するという結果になりました。 出典: Strong statin-diabetes link seen in large study of Tricare patients

過去にも同様の結果になった研究が複数ありますが、今回の研究は健康状態が良好な(心臓病、糖尿病、その他の慢性病が無い)人たちのデータを用いたところが従来の研究と異なります。

研究者は次のように述べています:
「スタチンにより糖尿病のリスクが増加することは知られていますが、スタチンを処方される人がそもそも不健康であるためにスタチンによって糖尿病のリスクが増加するように見えているという可能性もありました」
研究の方法

この研究では、スタチンの使用者約4千人と非使用者2万2千人の 2003年10月~2012年3月までの医療記録を調査しました。 スタチンの使用者と非使用者はスタチンの使用以外の点(年齢や性別などでしょう)において釣り合うように選出されました。 スタチン使用者の3/4はシンバスタチン(製品名「ゾコール」)を処方されていました。

結果
主な結果は次の通りです:
  • スタチン使用者は非使用者に比べて、糖尿病を発症するリスクが87%増加していた。
  • 糖尿病の合併症のリスクも非常に高くなっており、スタチン使用者が合併症を伴う糖尿病を発症するリスクはスタチン非使用者の3.5倍(+250%)だった。
  • スタチン使用者ではスタチン使用開始後に肥満になるリスクも14%増加していた。
  • 糖尿病・糖尿病合併症・肥満のいずれについても、スタチンの使用量が多いほどリスク増加幅が大きくなっていた。
研究者からのメッセージ

今回の研究は、スタチンが糖尿病の原因になることを示したものではありませんし、スタチンの使用を中止することを推奨するものでもありません。 スタチンは心臓病のリスクを低下させるうえで有益な薬です。

今回の研究は一般向けというよりは、研究者・医療ガイドラインの策定者・政策決定者に対して「短期間の臨床試験では(心臓病などの)予防を目的とした長期間にわたるスタチン使用のリスクとベネフィット(有益性)を完全には把握できない可能性がある」ということを伝えるためのものです。

研究者は次のように述べています:
「スタチンは必要なときに使うのであれば非常に有益な薬だと思いますが、スタチン服用に伴うリスクを知っていれば薬に頼る前に、禁煙・ダイエット・運動などできることをやっておこうという気になるかもしれませんね。 生活習慣の改善によってスタチンを飲まずに済むなら、それに越したことはありません」