コレステロール低下薬「スタチン」に前立腺ガン再発予防の効果

(2014年5月) "BJU International" 誌に掲載された米国の研究によると、コレステロール低下薬のスタチンが前立腺ガンの再発防止に有効かもしれません。 前立腺ガンの手術後にスタチンの服用を開始した患者でも、このガンの再発率が減少する傾向が見られたのです。

この研究では、根治的前立腺摘除術(前立腺の全体を摘出する手術)を受けた患者たちの医療記録を分析しました。 今回の研究では、スタチンの前立腺ガン再発への影響を調べるために、スタチンの使用歴が無い患者のデータのみに絞りました。

手術後にスタチンを服用を開始したのは400人(以下「スタチン・グループ」)、しなかったのは746人(以下「非スタチン・グループ」)でした。 追跡期間である6年間ほど(中央値)のうちに前立腺ガンが再発したのは、スタチングループで65人、非スタチングループで337人でした。

スタチン使用期間やその他の統計学的な要因を考慮した末、研究グループはスタチンにより前立腺ガンの再発リスクが36%低下するという結論に達しました。

ただし、スタチンのこの効果は非黒人においてのみ有意でした。(つまり、黒人においてのみスタチンによる前立腺ガン再発予防効果は見られなかった。 今回のデータにアジア系の男性がどれだけ含まれていたのか、あるいは含まれていたのかどうかは不明です)

前立腺ガンの様態が人種によって異なることは過去の複数の研究で示されていますが、スタチンの前立腺ガンに対する効果にも人種差があるのか否かについては今後の研究が必要です。
参考記事
研究者は次のように述べています:
「前立腺ガンの手術後にスタチンの服用を開始しても前立腺ガン再発のリスクが低下することが今回の研究で示唆されます。 つまり、前立腺ガンと診断されてからスタチンを服用し始めても遅くはないのです」
スタチンは心血管疾患のリスクを改善する作用のあることが知られていますが、ガンのリスクに対する効果に関してはよくわかっていません。 以前に行われたメタ分析(過去の複数の研究のデータを分析する)では、スタチンの前立腺ガンに対する効果は明確ではありませんでした。

細胞や組織を用いた生体外実験では、①コレステロールに前立腺ガンの成長を促進する作用のあることや、②コレステロールを下げることによって炎症(糖尿病やガンのリスク要因)が減少し、前立腺ガンの成長が鈍化することが示されています。
「スタチンがある種の代謝経路を阻害することによって直接的に、あるいはコレステロールを下げることによって間接的に前立腺ガンの成長を阻害している可能性はあります」