アンドロゲン除去療法とスタチンの併用で前立腺ガンの進行が鈍化?

(2015年3月) 米国臨床腫瘍学会で発表されたハーバード大学の研究において、アンドロゲン除去療法とコレステロール低下薬のスタチンを併用した男性で前立腺ガンの進行が鈍化するという結果になりました。
アンドロゲン除去療法
アンドロゲン除去療法では、薬剤を用いてアンドロゲン(テストステロンなどの男性ホルモン)の量を抑制します。 アンドロゲンは前立腺ガン腫瘍が増殖を促進します。

スタチンは過去の研究でも、前立腺ガンの治療成績(転帰)を改善する効果や前立腺ガンの再発リスクを下げる効果を示しています。

研究の方法

この研究では、アンドロゲン除去療法により前立腺ガンを治療している患者926人の医療記録を調査しました。

結果

前立腺ガンの治療を開始した時点でスタチンを服用していたのは約31%でした。 スタチン服用者は、侵攻性の(増殖が速いタイプの)前立腺ガンと診断される率が低くなっていました。

前立腺ガンの進行状況を5.8年(中央値)にわたって追跡調査した結果、アンドロゲン除去療法によってガンが進行することなく生存していた期間が、スタチン服用者では27.5ヶ月だったのに対して、被服用者では17ヶ月でした。

スタチンの服用と前立腺ガン進行ペースの鈍化との関係は、前立腺ガンの進行に影響する種々の要因を考慮した後にも依然として統計学的に有意でした。

考えられる理由
前立腺ガンの進行にスタチンが影響する理由として研究者は次の2つの可能性を挙げています:
  • 男性ホルモンの生産にはコレステロールが関与しているため、スタチンの使用によってコレステロールが減少し、それによってアンドロゲンの量が減っているのかもしれない。
  • 前立腺ガン腫瘍が男性ホルモンを吸収するプロセスに、スタチンが干渉しているのかもしれない。 複数の実験で、スタチンがアンドロゲンよりも優先的に前立腺ガンの細胞に吸収されることが示されている。
ただし、今回の被験者たちがスタチンを服用していたのは、前立腺ガンの治療のためではなく高脂血症を改善するためでした。 また、今回の結果は今後の研究で確認する必要があります。