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15年以上運動を続けていても10日間休むだけで脳の血流が減少

(2016年8月) 運動習慣を止めるとわずか数週間で心血管の能力が衰えることが知られていますが、"Frontiers in Aging Neuroscience" 誌に掲載されたメアリーランド大学の研究によると、運動習慣をわずか10日間中止するだけで認知機能にとって重要となる脳の領域において血流が減少してしまいます。

研究の方法
50~80才(平均年齢61才)で15年以上にわたりランニングの習慣(*)を継続していて最近にも競技大会に参加したという男女9人(男性7人。約90%が白人)に、10日間のあいだ一切の運動をせずにいてもらいました。
(*)強度の運動を毎週4時間以上。 1週間あたりの走行距離が平均で59km。
そしてその10日間の前後で、MRIという機械を用いて脳の8つの部位で血流の速度を測定したり、 言語流暢性のテスト(*)を行ったりしました。
(*) 「果物」あるいは「動物」などのジャンルを提示され、1分以内にそのジャンル内で思いつける言葉をできるだけ多く挙げていくというテスト。
結果
脳の血流
運動習慣を中止してから10日後には運動習慣を中止する前に比べて、脳の8つの領域において安静時の血流が減少していました。 血流が減少した脳領域には、アルツハイマー病と診断された人で萎縮が顕著な海馬(*)などの脳領域も含まれていました。
(*) 学習と記憶に深く関与している脳領域。 アルツハイマー病による萎縮は海馬に真っ先に表れます。
言語流暢性のテスト

運動を中止した10日間の前後で、テストの成績に目立った違いはありませんでした(19.9語に対して17.4語)。

解説
15年以上という長期間にわたりトレーニングを続けてきても、わずか10日間のあいだ運動を中止するだけで、脳の血流が減少するという結果でした。 今回見られた脳の血流の減少が認知機能にどのような悪影響を及ぼすのかは不明ですが、研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、運動を10日間中止して認知機能(言語流暢性)が衰えるというエビデンスは認められませんでした。 しかしながら、運動をわずか10日間休むだけで脳の領域のうち認知機能の維持にとって大切な部分において脳の血流が減少したというのには何らかの意味があるはずです」
「運動量が少ないと年を取って認知機能に問題が生じたり認知症になったりしやすくなりますし、運動に高齢者の海馬の萎縮を防ぐ効果のある可能性が期待されてもいます。 また、げっ歯類を用いた実験では、運動によって脳の血管やニューロンの新しい成長が促進されることが示されています」