腹圧性尿失禁には理学療法よりも手術が有効(1/2ページ)

(2013年9月) "New England Journal of Medicine" に掲載されたオランダの研究によると、中度~重度の腹圧性尿失禁には骨盤底筋のトレーニングよりも手術が有効です。 この研究によると、骨盤底筋の筋力トレーニングで尿失禁が解消された女性が64%でしかなかったのに対して、中部尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)と呼ばれる手術では91%の女性で尿失禁が解消されました。

尿失禁の治療

腹圧性尿失禁とは、運動、咳、笑うなどで腹圧がかかったときに尿が漏れるという状態のことで、女性では年を取るほどに、この症状が表れる人が増加します。

ケーゲル体操

尿失禁の治療法の1つに、骨盤底筋を鍛えることを目的とするケーゲル体操があります。 この体操では、筋肉を鍛えることによって尿道を閉じる力を養い、尿が漏れないようにすることを目指します。 今回の研究によると、ケーゲル体操による尿失禁の治癒率は53~97%(患者本人の主観による)です。

手術

尿失禁の治療法には手術もあります。 手術にも何種類かあるのですが、中部尿道スリング手術はその中でも最も患者が辛くない手術です。 この手術では、尿道の下にハンモック状のテープを挿入して、尿道が閉じた状態を保つのに必要となる支持と圧力を与えます。 今回の研究によると、中部尿道スリング手術による治癒率は75~94%(患者本人の主観による)です。

中部尿道スリング手術のリスクには、穿孔(人体の器官に穴があくこと)や、再手術の必要、手術後の出血、失血(大量の血液が失われること)、新たに生じる切迫性尿失禁(トイレに行くまで我慢できないタイプの尿失禁)などがあります。

「新たに生じる切迫性尿失禁」というのは、手術で腹圧性尿失禁が治ったと思ったら、今度は手術が原因で切迫性尿失禁になってしまうというケースのことです。

体操と手術どちらが良いか?

国際的なガイドラインの大部分では、失禁の程度に関わらず骨盤底筋のトレーニングが第一選択治療とされていますが、中部尿道スリング手術が安全で、効果も長持ちすることを示すエビデンスが増加してきています。

今回の研究の目的

そこで今回の研究では、中度~重度の腹圧性尿失禁の女性を被験者として手術とトレーニングのいずれが有効かを比較しました。