(2018年1月) "Cancer Cell" 誌に掲載されたコロンビア大学の研究によると、ストレスが膵臓ガンを助長する可能性があります。(出典: Pancreatic Cancer Accelerated by Stress, Finds Study)
ストレスで膵臓に病変
膵臓に腫瘍が発生しやすいように遺伝子を改造されたマウスを2つのグループに分けて、一方のグループは普通に飼育し、もう一方のグループを狭いスペースに閉じ込めて(ストレスが多い環境で)飼育しました。
そして14週間後、狭いスペースで飼育されたグループでは38%のマウスにおいて膵臓に病変が見られました。 普通に飼育されたグループでは、14週間のうちに膵臓に病変が生じたマウスは1匹もいませんでした。
カテコールアミン
さらにマウス実験を行った結果、ストレスにより血流中でカテコールアミン(ホルモン)が増加していました。
そうして増加したカテコールアミンが、膵臓の内部において腫瘍周辺の神経の成長を促進する分子の生産量を増加させていました。 こうして生じた新たな神経のために、腫瘍の発達が促進され、カテコールアミンがさらに増えました。
β遮断薬
カテコールアミンを阻害するのに使用される薬物に、β遮断薬(高血圧などの治療に使われる)というものがあります。
そこで、膵臓ガンのマウスに化学療法と非選択的β遮断薬を併用してみたところ、化学療法だけで治療した場合よりも生存期間が延びました。
進行膵臓ガンで手術を受けた患者631人においても、非選択的β遮断薬を服用していた患者は生存期間の中央値が40ヶ月と、選択的β遮断薬を服用していた患者やβ遮断薬を服用していなかった患者に比べて生存期間が2/3(66%?)ほど延びていました。
ただし研究者によると、膵臓ガンの患者にβ遮断薬の使用を推奨するには現時点ではデータが不足しています。