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ストレス ⇒ 肉体的な変化 ⇒ 腸内細菌の変化 ⇒ 抑鬱&不安感

(2015年7月) "Nature Communications" 誌に掲載されたマックマスター大学(カナダ)の研究によると、ストレスによる抑鬱や不安感の発生には肉体的な変化と腸内細菌の両方が関与している可能性があります。出典: McMaster Scientists Show a Link Between Intestinal Bacteria and Depression

研究の内容

この研究では、生後3日から21日の幼少マウスにストレスを与えるという実験を行いました。 ストレスの内容は幼少マウスを毎日3時間のあいだ母親から引き離すというものでした。

普通のマウスの場合

普通の幼少マウスを用いてこの実験を行ったところ、マウスの行動に不安感と抑鬱の徴候が現れました。 このマウスたちの体を調べたところ、ストレス・ホルモンであるコルチゾールの量が異常に増加し、主要な神経伝達物質であるアセチルコリンの放出に起因する腸の機能障害が見られました。

無菌マウスの場合

次に、腸内細菌が存在しない無菌マウスを用いて同じ実験を繰り返したところ、コルチゾールの増加と腸の機能障害は普通のマウスの場合と同様でしたが、不安感や抑鬱を示す行動は見られませんでした(幼少期にストレスを受けていないマウスと同じような振る舞いだった)。

腸内細菌を移植してみたところ
幼少期にストレスを受けた無菌マウスに、幼少期にストレスを受けていない普通のマウスの腸内細菌を移植したところ、数週間で腸内細菌の構成と代謝に変化が生じ、不安感と抑鬱を示すようになりました。
つまり、幼少期のストレスで体に異変が生じていたところに腸内細菌が加わると、腸内細菌の構成的には不安感や鬱の要素が無いにも関わらず不安感と抑鬱を示すようになった。
次に、幼少期にストレスを受けていない無菌マウスに、幼少期にストレスを受けた普通の(有菌の)マウスの腸内細菌を移植したところ、何も変化が見られませんでした。
つまり、体に異変が生じていない場合には、腸内細菌の構成的に不安感や鬱の要素があるかもしれないにも関わらず不安感も抑鬱も生じなかった。
解説
研究者は次のように述べています:
「今回の結果から、不安感と抑鬱の発生には身体的な要因と腸内細菌的な要因の両方が必要なのだと考えられます。 幼少期のストレスによりストレス反応性の増加と腸の機能障害が生じ、それによって腸内細菌叢に変化が生じ、それが脳機能の変化を引き起こします」
「ストレス ⇒ 肉体的な変化 ⇒ 腸内細菌の変化 ⇒ 抑鬱&不安感」というプロセスの中の肉体的な変化と腸内細菌の変化のいずれが欠けても、ストレスから抑鬱&不安感へと至る流れが止まってしまうということでしょうか。
「幼少期のストレスによる腸内細菌叢や腸内細菌の代謝に生じる比較的軽微な変化が成人後の行動に深く影響し得ることが今回の研究で示されました」