脳卒中患者の歩行能力改善に電気刺激器のインプラントが効果

(2016年6月) "American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation" に、歩行能力が損なわれた脳卒中患者に臀部・膝・踵(かかと)の筋肉の動きを協調させるようにプログラムした神経補綴(neuroprosthesis)を外科的に埋め込むことによって歩行能力の改善に成功した事例が報告されています。出典: Implanted Neuroprosthesis Improves Walking Ability in Stroke Patient

試験方法
被験者

この試験は Louis Stokes Cleveland Veterans Affairs Medical Center で行われたもので、被験者は21ヶ月前に起きた出血性脳卒中のために左の脚と足の感覚と運動機能が損なわれている64才の男性でした。

神経補綴の内容

この男性の踵から臀部にかけての7ヶ所の筋肉に、パルス発生器と筋肉内刺激電極を外科的な手段により埋め込みました。 そして、筋肉に刺激を与えて自然な感じで歩けるようにするための電気的刺激プログラムを、この男性に合わせて作成しました。

男性には、神経補綴を埋め込んだのち何ヶ月かにわたってリハビリを行ってもらいました。

結果
歩行速度

手術前には0.29m/秒だったのが、手術後には0.72m/秒になりました。 ただし、電気刺激を行っていない状態では、0.35m/秒と手術前と大差ない歩行速度でした。

歩行距離

手術前には76mを歩いたところで疲労が限界に達していましたが、手術後には最長で1.4km(所要時間41分)を歩けるようになりました。 電気刺激を行っていない状態でも、300m(所要時間16分)を歩けるようになっていました。

足取りも手術前に比べて、左右対称かつ動的となっていました。

日常生活

この男性は今のところ、研究室でしか電気刺激による歩行を行っていませんが、日常生活での歩行能力も有意に改善しており、手術前には自宅内で歩くだけだったのが、現在では近所を散歩するまでに回復しています。

コメント
研究者は次のように述べています:
「今回見られた治療効果は、電気刺激を受けた状態で運動や歩行トレーニングを行っている最中に筋コンディショニング(muscle conditioning)が行われた結果だと思われます。 神経補綴を使って歩くということを続けていれば、筋コンディショニングと心臓・血管の健康の両方を恒常的に得られるのではないかと思います」
今後
もっと大規模な試験を行って、神経補綴が脳卒中患者全般に有効であることを確認する必要があります。