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認知機能の維持に必要なのは実際の身体活動量よりも主観的な身体活動量?

(2018年1月) これまでに複数の研究で運動などの身体活動が認知機能(頭の働き)にとって有益であることが示されていますが、"Psychological Reports" 誌に掲載されたミシシッピー大学の研究で、「自分の身体活動量は人並み以上だ」と考えている人は実際の身体活動量に関わらず認知機能が高いという結果になりました。

研究の方法

60才以上の男女2千人超を対象に次の3点を調べました:
  1. 実際の身体活動量(客観的に計測された)
  2. 主観的な身体活動量
  3. 認知機能

主観的な身体活動量の調べかた

「同年代の人たちと比べたときのアナタの身体活動量はどの程度ですか?」という問いに対して次の3つの選択肢のうちから1つを選んでもらいました:
  1. 「よく体を動かす」
  2. 「他の人たちと同程度に体を動かす」
  3. 「あまり体を動かさない」

認知機能の調べかた

DSST(Digit Symbol Substitution Test)と呼ばれる認知機能テストを行いました。

DSSTでは、子供がスパイごっこに使用するような暗号のような感じで、1~9の数字それぞれに色々な形をした記号が割り振られます。 例えば、「」には「」、「」には「 」、「」には「」といった具合です。

設問用紙には「213724...」といった数列が記載されており、各数字の下に数字に対応する記号を記入してゆきます(213... ⇒ ⏊ -コ...)。 制限時間は90秒。

DSSTは "Wechsler Adult Intelligence Scale" と呼ばれる知能テストの一環として行われます。 DSSTに反映されるのは反応速度・注意持続力・視覚空間能力・頭の切り替えの速さなどです。

結果

「実際の身体活動量と認知機能の関係」そして「主観的な身体活動量と認知機能の関係」という具合に別途に分析すると、実際の身体活動量と主観的な身体活動量のどちらについても「活動量が多いと認知機能が良好である」という関係が見られました。

しかし、実際の身体活動量および主観的な身体活動量と認知機能との関係を同時に分析すると、認知機能とのあいだに統計学的に有意な関係が見られたのは主観的な身体活動量のほうでした。

関連研究

"Health Psychology" 誌(2017年)に掲載されたスタンフォード大学の研究では、米国に住む成人男女6万人超の身体活動量・健康状態・生活環境を調べたのち21年間にわたり死亡状況を追跡調査して、主観的な身体活動量が他人よりも少ないグループは主観的な身体活動量は他人よりも多いグループに比べて死亡リスクが71%高いという結果でした。

さらに、このスタンフォード大学の研究者が行った別の研究では、ホテル従業員に「あなたたちはホテル従業員としての仕事をするだけで、推奨される身体活動量を達成できていますよ」と伝えるだけで、体脂肪の減少や血圧降下などの効果が従業員に見られるという結果になっています。

したがって、主観的な身体活動量と健康状態との関係にはプラシーボ効果(*)が関与しているのかもしれません。
(*) 「体に良いものを摂った」という認識だけで実際には体に良いものを摂っていなくても健康状態が改善されるという現象のこと。