65才以上になると自分で思っているほど身体活動をしていない人が多い

(2018年4月) "Journal of Epidemiology & Community Health" に掲載されたカリフォルニア大学ロサンゼルス校などによる研究で、主観的な身体活動量と計器を用いて客観的に計測した身体活動量との間の乖離(かいり)が年を取るほどに大きいという結果になりました。 年を取ると「自分で思っているほど体を動かせていない」人が増えるというわけです。

また、身体活動量と健康との関係を調べる研究の多くでは身体活動量を把握するのにアンケート調査を用いていますが、特に高齢者を含む調査ではアンケートではなく計器で客観的に身体活動量を調べるのが望ましいということになります。

研究の方法

欧米(オランダ・英国・米国)に住む男女 1,500人超に7日間にわたり加速度計を手首に装着してもらい身体活動量を測定しました。 そして、普段の(加速度計を装着していた期間に限らない)全般的な身体活動の程度に関するアンケートを実施しました。

アンケートの内容

「全般的に言って、あなたの身体活動量はどの程度ですか?」という質問をして、次の5段階の中から該当するものを選ばせました: ①体を動かさない、②少し動かす、③まあまあ体を動かす、④よく体を動かす、⑤非常に体を動かす

さらに、軽い運動・中程度の激しさの運動・激しい運動という3タイプの運動それぞれを行う頻度も尋ねました。

結果

身体活動習慣に関するアンケートの結果は、国や年齢などによる差があまり見られませんでした。

しかし、加速度計で調べた身体活動量は国によって大きく異なっており、米国人はオランダ人や英国人に比べて身体活動量が随分と少ないという結果でした。 米国人はオランダ人や英国人に比べて自分の身体活動量を実際の(計器で客観的に計測した)身体活動量よりも高く評価しがち(実際には運動不足なのに自分では「少しは運動している」と思っている)であるということになります。

さらに、加速度計で調べると、年齢が高くなるほどに身体活動量が急速に減っていました。 アンケートではそのようなことはなかったので、年を取ると自分では「まあまあ体を動かしてる」と思ってるのに実際には運動不足であることが多いということになります。

年齢層別の身体活動量に対する認識と実際の乖離

以下の3つの表は、アンケート調査で調べた主観的な身体活動量と加速度計で調べた客観的な身体活動量をまとめたものです。 (ア)というのがアンケート調査で調べた身体活動量で、(加)というのが加速度計で調べた身体活動量です。

オランダ・米国・英国と国別に表を分けています。 英国のデータには50才以上しか含まれていないため数字が欠けています。表の作成だけで1時間10分もかかったので、じっくりと時間をかけて鑑賞してください。

オランダ
年齢
身体活動量 18~39 40~50 51~64 65+
不足(ア) 5% 10% 7% 9%
不足(加) 9% 11% 15% 40%
少しだけ(ア) 29% 20% 24% 18%
少しだけ(加) 9% 23% 22% 24%
そこそこ(ア) 38% 47% 41% 43%
そこそこ(加) 25% 20% 21% 12%
多い(ア) 25% 17% 25% 26%
多い(加) 27% 23% 18% 16%
とても多い(ア) 3% 6% 3% 4%
とても多い(加) 30% 23% 24% 8%
米国
年齢
身体活動量 18~39 40~50 51~64 65+
不足(ア) 8% 7% 10% 11%
不足(加) 21% 39% 39% 60%
少しだけ(ア) 19% 34% 39% 20%
少しだけ(加) 17% 12% 21% 20%
そこそこ(ア) 37% 30% 29% 42%
そこそこ(加) 16% 10% 13% 12%
多い(ア) 24% 21% 18% 22%
多い(加) 22% 16% 14% 3%
とても多い(ア) 12% 9% 4% 5%
とても多い(加) 24% 22% 13% 5%

英国
年齢
身体活動量 18~39 40~50 51~64 65+
不足(ア) N/A N/A 6% 5%
不足(加) N/A N/A 22% 32%
少しだけ(ア) N/A N/A 24% 22%
少しだけ(加) N/A N/A 14% 20%
そこそこ(ア) N/A N/A 42% 44%
そこそこ(加) N/A N/A 16% 27%
多い(ア) N/A N/A 26% 25%
多い(加) N/A N/A 26% 15%
とても多い(ア) N/A N/A 1% 5%
とても多い(加) N/A N/A 22% 6%