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ブロッコリーなどの成分「スルフォラファン」が自閉症に効果?

(2014年10月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" オンライン版に掲載された Massachusetts General Hospital およびジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、ブロッコリーやカリフラワー、キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれているスルフォラファンという成分が自閉症の一部の症状の改善に有効かもしれません。

研究の方法

この研究では、中~重度の自閉症と診断された13~27才の男性44人を2つに分けて、一方のグループにはブロッコリー・スプラウト(ブロッコリーの芽)から抽出したスルフォラファンを、そしてもう一方にはプラシーボ(二重盲検法で)を毎日服用してもらいました。

自閉症の症状の評価は、行動および社会的交流に関して行われました。 症状の評価は、研究開始の時点と、服用開始から4週間後・10週間後・18週間後の時点に介護人(家族)または研究スタッフが行いました。

服用期間は18週間でしたが、44人のうちの22人については、服用期間終了から4週間後にもう1度症状を評価しました。 44人のうち4人に関しては、一度も評価が行われませんでした(つまり、実質的には40人を対象に行われた試験)。

結果

スルフォラファンを服用した26人は、プラシーボを服用した14人に比べて、行動と社会的交流の両方において評価が有意に良好でした。

服用開始から4週間後の時点ですでに、行動に関する症状について顕著な(noticeable)改善が見られたと報告する介護人がいました。 そして、服用期間が終わる頃には、誰がスルフォラファンを飲んでいたのかが(二重盲検法なので誰がどちらを飲んでいたのかを知らない)介護人にも研究スタッフにも分かるほどでした。

スルフォラファンを服用した26人のうち、行動、社会的交流、および落ち着きにおいて服用期間中に改善が見られたと介護人が判断したのは17人でした。

服用期間が終了した18週間目の時点で、スルフォラファンを服用したグループでは、Aberrant Behavior Checklist および Social Responsiveness Scale(SRS)という2つの評価尺度の平均点が、それぞれ34%と17%低下していました。 これはつまり、イライラ、無気力、反復行動、多動、コミュニケーション、モチベーション、衒奇症(足のつま先で歩く、手を振らないで歩くなど)などに改善が見られたということです。

Clinical Global Impression という尺度を用いた評価では、スルフォラファンを服用したグループにおいて、社会的交流が顕著に改善していたのは46%、脱線行為(aberrant behaviors)が顕著に改善していたのは54%、言葉によるコミュニケーションが顕著に改善していたのは42%でした。

服用期間終了から4週間後に行われた評価では、症状の改善の大部分が消滅していました。 このことから、症状の改善がスルフォラファンによるものであった可能性が高いと考えられます。

コメント
研究者は次のように述べています:

「(二重盲検法で用いられる)暗号を解読して、誰がスルフォラファンを服用し、誰がプラシーボを服用したのかが明らかになったとき、結果に驚きはしませんでした。 (スルフォラファンの服用による)症状の改善が非常に顕著だったためです」

「症状の改善は SRS の評価結果において特に著しくて、『自閉症の薬の効果を調べる試験において、SRS を用いた評価で統計的に有意な症状改善が見られたのは初めてだ』と言われたほどです」

「ただし、スルフォラファンは自閉症の人すべてに効果があるわけではありません。今回の研究でも約1/3にはスルフォラファンの効果が表れませんでした。 さらに、今回の結果を、成人および子供を対象とする大規模な研究で確認する必要がありますし、スルフォラファンが効果を発揮するメカニズムも解明しなくてはなりません」
スルフォラファンの服用量

ニュースの元となった論文を見ると、今回服用したスルフォラファンの量は 50–150 µmol であるようですが、ブロッコリーに換算してどの程度食べる必要があるのかは不明です。 Wikipedia によると、ブロッコリー・スプラウトにはブロッコリーの10~20倍の量のスルフォラファンが含まれています。