減量手術の予後に日照量が影響

(2015年12月) "Obesity Science & Practice" 誌に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、減量手術の予後にビタミンDが影響している可能性があります。 季節や地域による日照量の差に応じて減量手術の予後に差が出ていたのです。
減量手術
減量手術(肥満外科手術)では、胃のサイズを小さくしたり食事が小腸の一部を迂回するようにしたりすることでカロリー摂取量を減らします。 肥満や糖尿病などの治療に用いられます。
研究者は次のように述べています:
「ビタミンDは体が日光に当たることで合成されるので、日照量が少ない北部の州に住む人にビタミンD欠乏症が多いというのは頷けます。 しかし、今回示された日照量・ビタミンD血中濃度・減量手術の転帰の関係の密接さには驚かされました」
研究の方法
米国で 2001~2010年のうちに減量手術を受けた患者93万人超の医療記録を調べました。
上述の研究者のコメントを見るとビタミンD血中濃度も調べたのかと思いますが、今回の研究ではビタミンD血中濃度を直接的には検査していません。 緯度と季節に基づいて推定しただけです。
結果

手術後の合併症は少なく、感染症を起こしたのは全体の1%未満でしたが、ビタミンD血中濃度が最低となる冬季(1~3月)に減量手術を受けた患者や米国北部の患者は、夏季に減量手術を受けた患者や米国南部の患者に比べて予後が良くありませんでした。

地域による違い

入院日数が3日間超におよんだケースは全体で30万件超でしたが、そのうちの71%を北緯37°(サウスカロライナ州のあたり)よりも北方の地域の患者が占めていました。

季節による違い

傷が治らなかったり傷口から感染症が生じたりするケースが日照量の少ない冬季に集中していました。 例えば、傷の治りが遅い患者の数が夏季には172人(0.07%)だったのに対して冬季には349人(0.09%)でした。

留意点

減量手術後には栄養吸収能力が低下するためビタミンDのサプリメントが処方されることがありますが、今回の研究だけでは、減量手術後の合併症リスクの低減を目的としてビタミンD処方のルーチン化を推奨するにはデータが不十分です。

その一方で研究チームは、肥満はビタミンD欠乏症のリスク要因であるので減量手術を受ける患者のビタミンD血中濃度を検査するべきであるとも述べています。