日照量の多い地域ではADHDが少ない

(2013年10月) "Biological Psychiatry" 誌に掲載されたオランダの研究によると、太陽光が注意欠陥・多動性障害(ADHD)のリスクに影響している可能性があります。

研究の概要

米国など10ヶ国のADHD症例数を地図上に展開して、各地域の年間を通しての日差しの強さと照らし合わせてみたところ、日差しが最も強い地域のADHD症例数が、日差しが最も弱い地域の半分ほどでしかありませんでした。 研究者によると、日差しの強さとADHD症例数は見事な対応関係にありました。

例えば米国の場合、日照量が最も多いのは南東部および西部の州で、これらの地域におけるADHDの発症率は6~8%だったのですが、日照量の少ない北東部の州では10~14%でした。

この結果は、人種・世帯収入・地域の男女比率などADHDに影響すると考えられる要因を考慮したうえでのものです。

精神性の疾患のうち日照量と関係があったのはADHDだけで、鬱病や自閉症などと日光の量との間に関連性は見られませんでした。

解説
ビタミンDではない?

日光が体に当たるとビタミンDが合成されます。 ビタミンDのお陰でADHDのリスクが減少するという可能性に関して、これまでの研究の結果は一致していません。参考記事: 妊娠中にビタミンDを十分に摂っておくと、生まれる子供がADHDになりにくい?

日照量とADHDとを結ぶのは体内時計?

ADHDの子供や成人の中には体内時計(光によって調整される)のリズムが狂っている人が見られるため、体内時計が日照量とADHDとをつなぐ鍵である可能性も考えられます。

研究者によると、ADHDの成人では80%、そして子供では1/3が、夜の寝付きに支障をきたしています。 いくつかの研究で、夜に眠れなくなる原因が、メラトニンという眠りに関与するホルモンの生産量がピークに達する時間帯が遅いためであることが示されています。

メラトニンの生産を特にかき乱すのは、スマートフォンや、タブレット、PCの画面、蛍光灯などに用いられているLEDライトの光に含まれる青色の波長です。参考記事: スマホが不眠の原因に

したがって、これらの電子機器を夜遅くに使用していると、メラトニンの放出が遅れて睡眠障害になる可能性があるのですが、研究者は、日照量の多い地域に住んでいる人では、朝に大量の日光を浴びるために、(電子機器の使用に関わらず)体内時計のリズムが正常に保たれるのかもしれないと考えています。

今回の研究者はこのように、日照量とADHDの関係には体内時計が関与していると考えていますが、今回の研究に関与していない専門家ADHDや過活動を抑制する方法として運動が有効であることを示す研究が増えつつあることから、「日照量の多い地域では子供が外で遊ぶ時間が長いからではないか」と考えています。