日焼け止めを使用していてもビタミンDの合成は行われる

(2013年9月) 人体は皮膚に紫外線が当たることでビタミンDを合成しますが、"Canadian Pharmacists Journal" に掲載されたキングズカレッジ・ロンドンの研究によると、日焼け止めを塗っていても、ビタミンDの合成は行われます。

研究の方法

今回の研究では、79人のボランティアが、スペインの海岸で一週間のバケーションを過ごしました。 79人を2つのグループに分けて、一方のグループにSPF15の日焼け止めを使用してもらいました。

結果

バケーションの前後にビタミンDの血中濃度を計測したところ、日焼け止めを使用していても、日光に当たることでビタミンDが 16 nmol/L(6.4 ng/ml程度)増加していました。

この結果から、強い日差しにさらされる場合には、SPF15の日焼け止めを使っていてもビタミンDが合成されると考えられます。
解説
6.4 ng/ml という数字はどの程度のものなのか?

海岸で一週間のバケーションを楽しむ前に計測したビタミンD の血中濃度が 50nmol/L(20 ng/ml程度)で、さらにWHOの基準によれば 20ng/ml 未満がビタミンD不足ですから、+6.4 ng/ml というのは血中ビタミン濃度にとって相当なインパクトのある数字だと考えられます。

研究で使われた日焼け止めの種類
今回の研究で用いられたのはUVA(紫外線A波)まで防いでくれる「ブロードスペクトラム」というタイプのものではありませんが、ブロードスペクトラムの日焼け止めでも結果は変わらないと思われます。 というのも、ビタミンDの合成に必要なのはUVAではなく UVB(紫外線B波)なのですが、今回の研究で用いられた非ブロードスペクトラムの日焼け止めでブロックされるのがUVBだからです。
ブロードスペクトラム
日焼けの原因の85%がUVBによるものであるため、以前の日焼け止めはUVBをブロックすることに主眼を置いていました。 しかし、UVAも肌の老化や皮膚ガンなどの原因になるためにブロックする必要があります。 そこで開発されたのが、UVAもブロックしてくれる「ブロードスペクトラム」というタイプの日焼け止めです。
留意点

今回の研究が「強い日差しにさらされる場合」に限定されている点に注意が必要です。 日焼け止めを日常的に使用すると肌の老化が鈍化するという研究がありますが、日差しが強くないときにも日常的に日焼け止めを使用する場合(あるいは日焼け止めを使用していなくても日照量が不足している場合)には、ビタミンDを食事やサプリメントで補給する必要があるかもしれません。

また、今回の結果は日焼け止めのメーカーにとっては歓迎すべきものですが、この研究にはBoots Group という日焼け止めメーカーが資金提供をしています。
ビタミンDの合成を妨げにくい日焼け止め

2016年2月にボストン大学が、 "Solar D" というビタミンDの合成をあまり邪魔しない日焼け止めを開発したことを "Plos One" に発表しています。 "Solar D" のSPFは30で、他のSPF30の日焼け止めに比べてビタミンDの合成量が1.5倍です。

ただし、この研究は 7-デヒドロコレステロールというビタミンD前駆体(皮膚に7-デヒドロコレステロールが存在する状態で紫外線が当たるとビタミンD3が作られる)を用いた生体外実験での結果なので、本物の人体で同じ結果になるとは限りません。