タモキシフェンの効果を引き出すには乳ガン細胞を眠らせる必要がある

(2014年7月) "Cancer Research" 誌に掲載されたテュレーン大学の研究によると、タモキシフェン(抗ガン剤)が乳ガンに対する効果を発揮するにはメラトニンというホルモンが必要で、夜間に光にさらされることによってメラトニンが生産されなくなると、乳ガンがタモキシフェンに対する完全な耐性を獲得すると考えられます。

研究の方法

ネズミの実験で、まず明るい環境を12時間保った後、真っ暗な環境(メラトニンが分泌される)を12時間保つというサイクルを何週間か続けました。

次に、真っ暗だった12時間を、ドアの下の隙間から漏れてくる程度のわずかな光が当たる12時間に変えてみました。 こうすることによってメラトニンの生産量が低下します。

結果
メラトニン自体にも腫瘍の形成を遅らせたり、腫瘍の成長を有意に鈍化させる効果がありましたが、メラトニンの量がタモキシフェンの効果に与える影響は劇的でした。 真っ暗な環境でメラトニンの生産量が増加した場合と、わずかな光が当たる環境でメラトニンのサプリメントを投与した場合(*)には、腫瘍が劇的に退縮(腫瘍の大きさや体内におけるがんの存在範囲が小さくなること)していたのです。
(*) わずかな光が当たる環境での実験において、ネズミを2つのグループに分けて、一方にのみメラトニンのサプリメントを投与したということでしょう。
解説

この結果は、タモキシフェンによる治療を受けながら、夜に眠れないために照明を点けている人や、夜勤で働いている人、PC やテレビの明るい画面を(夜に)見る人にとって大きな意味を持つと思われます。

研究者は次のように述べています:

「夜間にメラトニンの体内量が増えることで、乳ガン細胞も成長機構を停止して『眠り』に就きます。 そして眠っている最中の乳ガン細胞にはタモキシフェンが良く効くのです」

「ところが夜間に照明が点いていてメラトニンの生産量が抑えられていると、乳ガン細胞も『目覚めた』状態にありタモキシフェンが通用しません」
タモキシフェンに加えて、メラトニンを1日のうちの適切な時間帯(夜勤の人など生活リズムにより異なる)に服用するのが乳ガン治療のスタンダードとなるかもしれません。 また、タモキシフェン以外の抗ガン剤についても、同じことが言える可能性があります。