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高齢者の5~6人に1人はビタミンB9(葉酸)の摂り過ぎに要注意

(2016年10月) ビタミンB9(葉酸/葉酸塩)を過剰に摂取している高齢者では末梢神経障害(末梢性ニューロパシー)などの神経障害が悪化すると考えられていますが、"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたタフツ大学(米国)などの研究で、その考えが支持される結果となりました。出典: Transcobalamin 776C→G polymorphism is associated with peripheral neuropathy in elderly individuals with high folate intake

TCN2という遺伝子が変異体である高齢者がビタミンB9を過剰に摂取している場合に、末梢神経障害(末梢性ニューロパシー)のリスクが増加していたのです。

ビタミンB9とTCN2とビタミンB12

TCN2はビタミンB12輸送タンパク質をエンコードする遺伝子なのですが、そのTCN2が遺伝子変異体(後述)であると、ビタミンB12の利用効率が低下するために、ビタミンB12の摂取量が正常であってもビタミンB12が欠乏した状態になってしまうことがあります。

ビタミンB12が欠乏した状態が長期間続くと末梢神経障害や貧血などの問題が生じますが、ビタミンB9の摂取量が多いとビタミンB12の不足が引き起こす症状が悪化する可能性があります。

高齢者はビタミンB12が不足しがち

今回の研究の調査対象として高齢者が選ばれたのは、高齢者でビタミンB12が欠乏しがちだからだと思われます。 高齢者では、胃酸の生産量が減るためにビタミンB12が欠乏しがちです。 また、高齢者は薬を服用していることが多いですが、薬の中には食事に含まれているビタミンB12の吸収を妨げるものがあります。参考記事: 人体が利用できない「偽の」ビタミンB12に注意

遺伝子変異体
上述の遺伝子変異体とは、「GG」という遺伝子型のことです。 今回の研究には「C C」と「GG」しか登場しませんが、"European Journal of Clinical Nutrition" に掲載された研究(リンク先は英文)などを見ると「C G」という遺伝子型もあるようです。
今回の研究論文のタイトルに "C→G polymorphism" とあるのは、「C がGになる遺伝子変異」という意味なのでしょう。
「GG」保有者の割合
  • 今回の研究に基づくタフツ大学のプレスリリース(リンク先は英文)によると、米国人の場合(*)は6人に1人(約17%)が「GG」の保有者であると推算されています。
  • 今回の研究では31人が「GG」保有者でした。 171人中31人なので18%の割合ということになります。
  • 前述の "European Journal of Clinical Nutrition" の研究では、北アイルランドに住む男性613人のうち「C C」の人は32%、「C G」の人は47%、「GG」の人は21%という結果になっています。
(*) TCN2の遺伝子型の比率は人種によって異なる。
研究の方法

60才以上の高齢者171人を対象に、末梢神経障害の有無の検査・食生活に関するアンケート調査・血液検査を実施しました。

結果
データ全体

データ全体の分析では、TCN2の遺伝子型が「GG」のグループは、末梢神経障害を抱えている率が遺伝子型が「C C」のグループの3.3倍でした。

ビタミンB9摂取量により区分
ビタミンB9の摂取量がRDA(*)の2倍超だった人たちに限ると、この数字は6.3倍でした。 ビタミンB9の摂取量がRDA以下だった人たちに限ると、遺伝子型が「C C」のグループでも末梢神経障害を抱えている率は増えていませんでした。
(*) 米国で定められている推奨許容量。 ビタミンB9は、1日あたり800μgまで。