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紅茶と緑茶の健康効果

以下は、"Academy of Nutrition and Dietetics" による "The Health Benefits of Tea" と "American Journal of Clinical Nutrition" 2013年12月号(以下、"AJCN")に掲載された5つの研究の結果(リンク先は英文)をまとめたものです。

心臓・血管
緑茶や紅茶に含まれる抗酸化物質であるフラボノイド類(カテキンなど)には、①悪玉の LDL コレステロールの酸化(*)を防ぐ、②血栓を減少させる、③心臓の血管の拡張具合を改善するという効果があります。
(*) LDL の酸化により生じる「酸化 LDL」 は、動脈に炎症を引き起こして動脈硬化・心臓発作・脳卒中のリスク増加の原因となります。

紅茶と心臓の健康については複数の研究が行われており、これらの研究では、紅茶の飲用によって①心臓発作のリスクが減少する、②コレステロール値が下がる、③血圧が下がるなどの結果が出ています。

AJCN に掲載されたイタリアの研究でも、紅茶に血圧を下げる効果があること、そして、高血圧の人が食後に一杯の紅茶を飲むだけで、脂肪分の多い食事による血圧や動脈の血流への悪影響を緩和することが示されています。 この研究グループの過去の研究では、食後に紅茶を飲むことで、最高血圧が 2.6 mmHg、そして最低血圧が 2.2 mmHg 下がるという結果が出ています。

ガン

お茶のガンに対する効果は、心臓病ほど明確ではありませんが、それでも、これまでに何百もの研究によってお茶の成分に抗ガン作用(胃腸のガン、肺ガン、前立腺ガン、乳ガン、皮膚ガンなど)のあることが示唆されています。

お茶がガンに効く理由としては、ポリフェノール化合物(特にカテキン)による抗酸化作用や、(腫瘍の)増殖因子シグナル伝達の阻害、抗ガン剤の効果アップなどが考えられます。

2007年に発表されたレビュー(過去の複数の研究データを用いた研究)によると、紅茶に関しては、結直腸(≒大腸)ガンを除いてガンには有効ではないと考えられます。

AJCN に掲載されたレビューでは、緑茶カテキンを1日あたり 600mg 服用することで、前立腺ガンの進行が減少するという結果になった研究が報告されています。 この研究によると、1年間の服用期間の後、プラシーボを服用したグループでは30%の人で前立腺ガンの進行が見られたのに対して、緑茶カテキンを服用したグループでは9%に過ぎませんでした。

2010年に発表された日本の研究では、緑茶を1日に1杯以上飲んでいる人では(虫歯や歯周病で)歯を失うリスクが有意に減少するという結果になっています。

複数の研究で、お茶により歯の表面の pH が下がり、これによって歯周病菌の繁殖が抑制されることが示されています。 緑茶によって歯が保護されるのは、この殺菌作用のためかもしれません。

"The Health Benefits of Tea" では、緑茶による歯の保護効果は、緑茶の殺菌作用よりも緑茶に使用される水に含まれるフッ素のお陰ではないかとしています。 そしてフッ素の源として、水道水に含まれるフッ素と茶葉が生育中に土壌から吸収したフッ素を挙げていますが、日本では水道水にフッ素は添加されていません。

一方、茶葉にそもそも含まれるフッ素について調べてみると、茶葉にフッ素が含まれているというのはよく知られているようです。 緑茶の品質 とフッ素溶出量 との関係(昭和54年)によると、フッ素は新葉よりも古葉や茎に多く含まれています。 緑茶(浸出液)に含まれるフッ素の量は、虫歯予防に有効とされている1ppm 前後です。

緑茶に含まれるポリフェノールには骨を丈夫にする効果があると考えられます。 50歳超の男女において、緑茶を飲んでいると股関節を骨折するリスクが30%減少していたという研究があるほか、閉経後の女性150人に500mgの緑茶抽出物(緑茶を1日あたり4~6杯飲むのに相当する量)を飲ませて太極拳をやらせるという試験でも、骨形成のマーカー(血中の物質に基づく指標)と筋力(これは太極拳のお陰?)が改善し、炎症のマーカーが減少するという結果が出ています。

これらの研究に加えて、緑茶に含まれるフラバノールが骨再形成(bone remodeling)を回復する効果を介して、骨密度を維持し、骨量減少を鈍化させる作用を有することを示す研究が多数存在します。

集中力

AJCN に掲載された研究で、プラシーボを用いた試験を行い、お茶を飲むことで集中力が向上するという結果になっています。 お茶を飲んだグループのほうが、プラシーボを飲んだグループよりも、注意力を要する作業で良い成績だったのです。

飲んだお茶の量は、90分で2~3杯でした。 お茶に含まれるカフェインだけでなく、テアニンというアミノ酸も、お茶による集中力向上に寄与していると考えられます。

ダイエット

お茶によるダイエット効果は、お茶に含まれるポリフェノールとカフェインによってカロリー消費と脂肪の酸化(fat oxidation)が促進されることに由来していると考えられます。

AJCN に掲載されたレビューによると、お茶によるカロリー消費量の増加は、カテキン1mgあたり 0.13 kcal ほどです。 食事の内容を変えることなく緑茶とカフェインを摂取するだけで、体重が12週間で平均2.9ポンド(1.3kg程度)落ちるという結果になった研究もあります。

さらに、日常的にお茶を飲む人のほうが、お茶を飲まない人よりも、BMI や、ウェストに対するヒップの比率、体脂肪率などの指標において痩せていることが複数の研究で示されています。

ただし、これらの研究は主にお茶の抽出物(EGCG〔エピガロカテキンガレート〕などのカテキンや、フラバノール、ポリフェノール、カフェイン)を用いた研究であるため、お茶として飲む場合にそのまま当てはめることができません。

例えば、"American Journal of Clinical Nutrition"(2005年1月)に掲載された花王ヘルスケア研究所の研究でも緑茶抽出物が用いられています。

この研究では、BMI とウェストのサイズが同程度の日本人男性35人を2つのグループに分けて3ヶ月にわたって、一方のグループにはウーロン茶に緑茶から抽出したカテキン 690mgを混ぜたものを飲んでもらい、もう一方にはカテキン 22mgを混ぜたものを飲んでもらいました。 この3ヶ月間のあいだ、両グループには同じ朝食と夕食を食べさせて、摂取カロリーや摂取脂肪量が同じになるようにしました。

3ヵ月後、カテキン 690mgの入ったウーロン茶を飲んだグループでは体重が2.4kgほど落ちていたのに対して、22mgのグループでは1.3kgほどしか落ちていませんでした。 690mg のグループでは LDL コレステロールも減っていました。

この結果から研究グループは「緑茶に含まれるカテキンには①カロリーを燃焼させる効果、②LDLコレステロールを減らす効果、および③体脂肪を少し減らす効果が期待できる」としています。