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食後1時間が経過すれば、お茶を飲んでも鉄分の吸収があまり妨げられない

(2017年10月) お茶が鉄分の吸収を妨げることが知られていますが、"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたチェスター大学(英国)の研究によると、鉄分を含有する食事をしてから1時間が経過すれば、お茶を飲むことで鉄分の吸収が妨げられるのが半分近くにまで緩和されます。 鉄不足にお悩みの方は食後1時間が経過してから飲茶すると良いでしょう。

研究の方法

鉄不足ではない平均年齢25才の女性12人に、同位体で目印をつけた非ヘム鉄を4mg含有するポリッジ(オート麦のおかゆ)を3回(それぞれ別の日に)次のようにして食べてもらいました:
  1. 水を飲みながら食べる
  2. お茶を飲みながら食べる
  3. 何も飲まずに食べ、食後1時間が経過してからお茶を飲む

そして血液検査をして、ポリッジに含有される鉄分がどれくらい身体に吸収されているかを(同位体の目印を手がかりに)調べました。

結果

ポリッジに含有される鉄の吸収率は次のようなものでした:
  1. 水を飲みながら食べた場合: 5.7%
  2. お茶を飲みながら食べた場合: 3.6%
  3. 何も飲まずに食べ、食後1時間が経過してからお茶を飲んだ場合: 5.7%

ポリッジを食べるのと同時にお茶を飲むことで非ヘム鉄の吸収が37%妨げられましたが、ポリッジを食べた1時間後にお茶を飲んだ場合には18%妨げられるだけで済みました。

関連情報

鉄分について

人体中には平均5~7gの鉄分が存在し、そのうちの60%は赤血球の色素であるヘモグロビンに含まれています。

鉄分不足の主な原因は、月経などによる出血と食生活の偏りです。 鉄は赤身肉・レバー・豆類・全粒穀物に豊富に含まれており、これらを食べない人では鉄分が不足しがちです。 ビタミンCが不足しても鉄分が不足します。

鉄は、サプリメントなどで大量に摂り過ぎると毒性があります。 人体に鉄分吸収を調節する機能が備わっているのもこのためです。

ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。 非ヘム鉄は野菜や鉄サプリメントに含有されています。 ヘム鉄は赤身肉などに含有されています。

非ヘム鉄の吸収率が5%に過ぎないのに対してヘム鉄の吸収率は37%ですが、これは逆に言えば人体はヘム鉄の吸収を非ヘム鉄ほど上手に調整できないということで、ヘム鉄は非ヘム鉄よりも鉄分の過剰摂取の原因となりがちです。 ヘム鉄は心臓疾患のリスク要因として疑われています。

お茶と鉄

お茶が鉄分の吸収を阻害するのは、お茶の成分であるフェノール類が鉄と結合してしまうためです。 中年男性が緑茶を毎日のように1.5Lも飲んで鉄分不足に陥り貧血を起こしたケースも報告されています。

以前は、お茶により吸収が阻害されるのは非ヘム鉄だけだと考えられてきましたが、最近になってヘム鉄もお茶により吸収が阻害されるようであることが明らかになっています。

2016年にペンシルバニア州立大学が発表した研究によると、緑茶と鉄分を同時に摂取することで鉄の吸収が妨げられるだけでなく、緑茶の抗酸化成分も損なわれてしまいます。 鉄分が緑茶の抗酸化成分と結合するためです。 緑茶と鉄分は互いの健康効果を打ち消し合ってしまう相性の悪い食品/栄養素だと言えるでしょう。

お茶ほどではありませんが、コーヒーや野菜などのようにポリフェノール類を多く含む食品も鉄分の吸収を邪魔します。

鉄分の吸収効率を上げるには?

ビタミンC動物性タンパク質(肉や魚)を鉄分と同時に摂ると鉄分が吸収されやすくなります。 1982年に発表された研究によると、オレンジジュースで鉄分の吸収率が大きく向上しますが、お酒(ビールを除く)やコカコーラでは僅かに向上するだけです。 ただし、ワインは鉄分が豊富に含まれていることも多いため、鉄の補給に有効かもしれません。 ビールや牛乳では鉄分の吸収率はまったく増えません。