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テロメアとは(1/2ページ)

テロメアの役割

白く光る点がテロメア
(画像提供: NASA)

体の健康は細胞の健康から。 その細胞の健康はDNAとその入れ物である染色体の状態に左右されます。 したがって、染色体同士の融合や染色体に生じた異常はガンなどの病気や老化の原因となります。

染色体を靴紐に例えるならば、テロメアは、靴紐の先端のキャップのようなもので、染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護しています。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり時間の経過と共に、年を取るほどに)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になって細胞がガン化する原因になります。 通常は、テロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化(senescence)」により細胞が破壊されるのですが、このような破壊を免れた細胞がガン化します。
"Genes and Development" 誌(2014年11月)に掲載された研究によると、テロメアの長さが細胞が破壊される水準にまで達しなくても短くなるだけで、それまでテロメアが抑えていた遺伝子のスイッチが入って、老化や病気の原因になると考えられます。
老化の指標

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは体の老化度を知るための加齢の指標として用いることができます参考記事: テロメアが短いと三年以内に死ぬリスクが高い。 テロメアの長さの測定には白血球のテロメアが用いられるのが一般的ですが、それは白血球のテロメアが最も測定しやすいためです。

ヒトは16才になった頃から、テロメアが1年あたり50~100塩基対ほど(32~45塩基対ほどという説も)のペースで短くなってゆきます。 健康な人では、生後から成人するまでの間にテロメアの長さは半分以下になり、その後老年期を迎えるまでにさらに半分の長さになります。

テロメアが短くなる要因
喫煙・肥満・劣悪な食事(糖分の摂り過ぎなど)・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されているほか、ガン・心血管疾患・認知症・肥満・脳卒中・骨粗鬆症・感染症・糖尿病高血圧や遺伝子のタイプによってもテロメアは短くなります。
心理的ストレス
カテコールアミンと呼ばれるストレス・ホルモンが染色体を傷つけることから、慢性的な心理的ストレスによってもテロメアが短くなるのではないかと考えられていますが、"Brain, Behavior, and Immunity" 誌(2016年)に掲載されたスタンフォード大学のメタ分析(複数の類似研究の結果をまとめたもの)では、少なくとも数ヶ月程度にわたる慢性的な心理的ストレスであればテロメアの長さに影響はなさそうだという結果になっています。
テロメアの長さは原因ではなく結果?
"Experimental Gerontology"(2016年6月)に掲載されたスタンフォード大学の研究によると、テロメアが短くなるために病気になるのではなく、病気になるとテロメアが短くなるのだと考えられます。 ただし、心臓病に関しては、テロメアが短いことによってリスクが2%増加するという結果でした。