海馬硬化症を伴う側頭葉てんかんの患者のうち、薬のみの治療でも長期間にわたり予後が良好なのは30%ほど

(2016年7月) "PLOS ONE" に掲載された北海道大学の研究によると、海馬硬化症を伴う側頭葉てんかん(TLE-HS)の患者の30%ほどは、薬のみの治療でも長期間にわたり予後が良好です。出典: Very Long-Term Outcome of Non-Surgically Treated Patients with Temporal Lobe Epilepsy with Hippocampal Sclerosis: A Retrospective Study

研究の方法

北海道大学病院において手術をせずに薬物治療のみを受けたTLE-HSの患者41人の平均で27年分のデータを分析しました。

41人のプロフィール
  • 平均年齢53.1才。
  • 男性13人、女性28人。
  • てんかん発症の平均年齢は12才。
  • 熱性けいれんが起きたことがあるのは51%。
  • 73%が全身性強直性間代性発作を一度のみならず経験していた。
  • 41%が左側頭葉てんかん、54%が右側頭葉てんかん、残りの2名が両側側頭葉てんかん。
結果
抗けいれん薬による治療を受けた平均27年のうちに癲癇発作が起きなかった(*)のは、41人のうち29%にあたる12人(グループ1)でした。 この期間中に癲癇発作が起きた29人(グループ2)のうち12人は、発作の頻度が月に1回未満でした(残りの17人はもっと高頻度)。
(*) ただし前兆(オーラ)は生じることがあった。
グループ1の特徴

グループ1とグループ2を比較したところ、グループ1の統計学的に有意な特徴として以下が浮かび上がりました:

比較的高齢だった

グループ1の平均年齢が59.2才だったのに対して、グループ2の平均年齢は50.5才でした。

治療開始時点の発作が少なかった

グループ1では、抗てんかん薬による治療開始を開始した時点において発作が週に1回以上起こっていたのが1人だけでした。 これに対してグループ2では、13人で発作が週に1回以上起こっていました。

抗てんかん薬を服用する回数が少なかった
過去(調査が始まる以前)に抗てんかん薬(AED)を使用した数が、グループ1では平均5.5、グループ2では平均3.5でした。
癲癇発作は初回または2回目のAED使用によりコントロールが可能であることが多く、AEDを3回使う必要があるとなると発作活動が完全寛解する率が下がることが、過去の研究(リンク先は英文)でも報告されています。
仕事に就いている率が高かった

仕事に就いている率が、グループ1では7人(58.3%)だったのに対して、グループ2では6人(20.7%)でした。

今回の研究の意義
研究チームは「今回の研究結果をTLE-HS患者が手術を行うかどうかの判断材料として用いることができる」と述べています。